グローバル金融研究部門
グローバル金融研究部門について
金融のグローバル化および金融市場の統合が急速に進む中、わが国および世界経済において、バブルや金融危機に対してどのような政策をとるべきか、また教訓を活かして再発を防ぐことができるか等を理論的、実証的および制度的に先端的研究を行います。さらに、地域レベルでの金融の役割についても研究します。内外の研究者との共同研究を中心に、国際金融政策、国際通貨システム、ミクロ政策分析、およびマクロ政策分析の4研究分野で総合的に取り組みます。

研究分野
国際金融政策
グローバル経済下における金融政策の果たす役割を学術的に分析し、そして政策提言につながり得るような研究に結びつけることを目指します。理論的な研究としては、危機への対応として主に新興市場について、どのような政策が望ましいか金融政策を中心に分析を行います。実証的な研究としては、計量経済学及び時系列分析手法を応用することで、金融政策効果及び政策対応に関する分析を行います。
国際通貨システム
国際通貨・金融システムに関する理論的・実証的・制度的研究を中長期的な研究課題とします。具体的には、グローバル・インバランス(世界的な経常収支の不均衡)問題、基軸通貨ドルに代わるSDR(特別引出権)を拡充した国際通貨システムの構築、および通貨危機やグローバル金融危機の再発防止のための国際通貨基金(IMF)などを中心とする国際金融アーキテクチャー、ギリシャを発端とする欧州通貨危機などについて考察します。
ミクロ政策分析
日本の金融システムが経済・社会の持続的発展を支える仕組みとしてどのように機能しているのかについて、政策・制度・行動の相互作用に着目し、実証的に分析します。具体的には、①日本の金融システム政策、②地域経済と地域・中小企業金融、③サステナブルファイナンス/ESG地域金融、④保険業と保険規制、⑤金融経済教育・金融リテラシーと家計の資産形成、⑥金融機関・企業のガバナンスと制度設計といった幅広いテーマを対象としています。
分析にあたっては、利用者(企業・家計)と供給者(金融機関)の双方の視点を重視し、定量的・定性的手法を組み合わせた検証を行うとともに、金融政策当局者や金融機関の経営層・実務担当者との継続的な意見交換を通じて、現場の知見を研究に反映させます。こうした実証分析と実務的知見を踏まえ、エビデンスに基づく政策提言を行うことを目的とします。その基盤として、内外の研究者・実務家が参加する研究交流の場として、金融システム研究部会および地域共創研究推進センターを運営していきます。
また、上記の論点は、デジタル化が急速に進展する現代社会において、情報空間上の相互作用やデータに基づく意思決定の観点から拡張されるべす。すなわち、計算社会科学やネットワーク科学、大規模言語モデル(LLM)といった先端的手法を応用し、Wikipediaにおける知識生成やデジタルプラットフォーム上の経済取引の分析、さらには「科学の科学(Science of Science)」の視点を用いた科学政策について分析を進めます。これら定量的かつ先端的な実証分析を通じて、デジタル変革期における新たな社会課題への政策的含意を導出し、現代のミクロ政策分析との接続を図ります。
加えて行動経済学の知見に基づき、人々の意思決定は必ずしも完全に合理的ではなく、情報制約や心理的バイアス等の影響を受けて、状況に応じて体系的に変化し得ることを踏まえた分析を行います。こうした分析を通じ、家計・企業の金融行動や制度への反応について、従来の経済学から得られた知見を再検討し、有効性・効率性を高める制度設計の提案を目指します。
マクロ政策分析
マクロ経済における資産バブルの発生・崩壊、バブル崩壊が引き起こす金融・経済・財政危機、および他国で発生した金融・経済危機がマクロ経済に与える影響を分析し、グローバルな視点から、バブル期・金融危機・財政危機時に有効な経済政策を考察・提言します。さらに、通貨のバブルとも言えるデフレーションや為替の高騰に関しても、バブル的現象であるとの観点から理論化を図ります。
研究者一覧
| 職位 | 研究者 | 研究分野 | 主な研究課題 | 個人ページ |
|---|---|---|---|---|
| 教授 | 上東 貴志 | マクロ政策分析 | 動的最適化とマクロ経済動学 | リンク |
| 教授 | 北野 重人 | 国際金融政策 | 国際資本移動グローバル化の影響と政策のマクロ的分析 | リンク |
| 教授 | 家森 信善 | ミクロ政策分析 | 日本の金融システム政策の実証研究 | リンク |
| 教授 | 柴本 昌彦 | 国際金融政策 | 計量経済学・時系列分析を応用した日本経済の実証研究 | リンク |
| 准教授 | 明坂 弥香 | ミクロ政策分析 | 選好パラメターの形成・変化、夫婦の労働供給、大学専攻の男女差 | リンク |
| 講師 | 松井 暉 | ミクロ政策分析 | デジタルプラットフォーム上の人間行動のメカニズムの解明 | |
| 特命講師 | 荻巣 嘉高 | マクロ政策分析 | マクロ経済学、労働経済学、ネットワーク科学 |
