RIEB Discussion Paper Series No.2023-J06

タイトル

経済成長と不平等: 財政金融政策の役割*

要旨

本論文では，代表的消費者の分配理論を拡張し，持続可能な財政ルール，一定の貨幣成長率ルール，弾力的な労働供給，および，異質な初期資産を伴う内生的成長モデルを用いることで，短期(移行動学)と長期(定常状態)における財政金融政策，経済成長，および不平等の関係を検討する。本論文のモデルでは，平均余暇，政府債務・実質貨幣比率，および政府債務・民間資本比率によって利子率と賃金率が決定され，それが経済成長率，インフレ率，および消費者間の分配に影響を与える。本論文の分析結果より，経済成長を加速する政府の公共政策の実施において，経済成長率と不平等の指標との間には異なる関係があることが示される。本論文の政策的含意は，政府が適切に政策運営を実施することで，経済成長加速と所得の不平等緩和を達成する政策手段を有しているということである。

キーワード

財政金融政策; 経済成長; 不平等; 余暇と労働供給の時間配分;資産ポートフォリオ

分類コード

E63, H30, H63, O42

連絡先

名古屋大学大学院経済学研究科
神戸大学経済経営研究所ジュニア・リサーチフェロー
宮下　大輔

*本ディスカッションペーパーは令和4年度兼松賞受賞論文です。