新野幸次郎元学長の訃報に接して

新野幸次郎元学長の訃報に接して

 神戸大学元学長(1985年2月~91年2月)で経済学研究科長・経済学部長(76年11月~78年11月)も務められた、神戸大学名誉教授の新野幸次郎先生の突然の訃報に接し、 長年にわたる先生の学術および社会への幅広いご貢献に敬意を表し、経済経営研究所員一同衷心よりご冥福をお祈りいたします。

 新野先生は鳥取県出身。神戸経済大学(現神戸大)を卒業後、1949年4月に神戸経済大学(現神戸大学の前身)に奉職され、 1963年に教授となり、産業組織論や市場経済の研究など多数の研究業績を上げられるとともに、85年から6年間、神戸大学長を務められました。
 退任後の91年には神戸市のシンクタンク「神戸都市問題研究所」の所長に就任され、95年に発生した阪神・淡路大震災では、直後に兵庫県と神戸市の復興計画検討委員会のトップに就くなど、 民間の立場から復興計画を主導されました。2000年には同理事長となり、18年3月の解散まで神戸市政に政策提言を続けてこられました。 関西の研究者が呼び掛けた「ひょうご創生研究会」の会長も務め、阪神高速道路の一部廃止や地下化を提言するなど、斬新な発想で21世紀の安全都市を構想されました。
 その後も、防災や減災の大切さを世界に発信する「人と防災未来センター」の構想段階で検討委員会座長に就任するなど、震災の教訓を伝える取組を続けてこられました。

 新野先生には1980年5月から85年3月まで経済経営研究所教授を兼任いただき、近年においても本研究所主催の多数のシンポジウムにご参加いただくなど、 長年にわたりご支援ご指導を賜りました。2019年の経済経営研究所創立100周年記念の特別寄稿では、本研究所のこれまでの歩みと今後の在り方について厳しくも温かいご助言を寄せていただき、 深く感謝しております。先生のご期待に応えられるよう、所員一同、より一層精進していく所存です。

令和2年12月18日
経済経営研究所長 神谷 和也


新野先生の100周年記念誌特別寄稿の記事リンク

特別寄稿「経済経営研究所の飛躍を祈って」(https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/100th/file/100th-publication-p42-43.pdf)[PDF, 727KB]
新野 幸次郎 氏

神戸大学名誉教授

【略歴】
1925年 鳥取県生まれ
1949年 神戸経済大学経済学科卒業、同大学助手
1963年 神戸大学経済学部教授

 その後経済学部長などを経て、1985年から1991年まで神戸大学学長

 その間、日本学術会議委員、日本経済政策学会会長、自治体学会顧問、国立大学協会理事・第一常置委員会委員長、大学審議会委員、 大学設置審議会常任委員(文部省)、物価安定政策会議委員(経済企画庁)、独占禁止懇話会委員(公正取引委員会)、中小企業安定審議会委員(通産省)、 文化政策推進会議委員(文化庁)、国立大学法人神戸大学経営協議会委員、都市再生戦略策定懇話会座長、震災対策復興検証会座長(兵庫県)等を歴任、 現在、日本経済研究センター理事、(財)こうべ市民福祉振興協会会長、兵庫県立美術館運営委員長等を勤める。

【受賞歴】
神戸市文化章、神戸市民福祉功労賞、兵庫県文化賞、日本計画行政学会論説賞、神戸新聞平和賞、井植文化賞特別賞、勲二等旭日重光賞、神戸市産業功労者賞、兵庫県県政高揚功労賞など。
【著書】
「現代市場構造の理論」「産業組織政策」「日本経済の常識と非常識」「六甲台からー大学と学生と現代社会―」 「現代経済の常識(共著)」「ケインズ経済学(共著)」「経済政策論(共編)」「寡占の経済学(共編)」「新・現代経済をみる目(編著)」などその他多数
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