第29回 神戸経済経営フォーラム

第29回 神戸経済経営フォーラムThe 29th Kobe Forum in Business and Economics

個別化する雇用関係に向けて~人事・経営・管理者・従業員それぞれが果たすべきこと~

総括コメント

 神戸経済経営フォーラムは,毎年1回神戸商工会議所と共催で,本研究所員の研究分野に関連する諸問題をテーマに,地域の経済人経営者等を対象とした学術講演会を開催しております。本フォーラムは研究成果の一部を社会に還元することを目的としており,1957年(昭和32年)から継続的に行われています。

 今年度は2025年2月5日に実施されました。ここ数年とは異なり,参加方法として神戸商工会議所での対面形式を採用し,およそ35名の参加がありました。

 当日は神戸商工会議所の平岡靖敏さんの司会進行により,本研究所の北野重人所長の挨拶から開会しました。続いて,本研究所の江夏幾多郎准教授が「個別化する雇用関係に向けて~人事・経営・管理者・従業員それぞれが果たすべきこと~」というタイトルで講演を行いました。

 江夏准教授は,今後の雇用条件や仕事内容においては,企業と個人で事前の合意が必要になってくると指摘しました。その背景にあるものとして,労働力や高度な人的資源の希少性,経営環境の複雑化などが指摘されました。こうしたことを踏まえ,経営側に対しては,労使の対等な関係を前提とした雇用・人事の管理に本腰を入れるべきと,強いメッセージが出されました。従業員一人一人の能力やニーズ,企業内の一つ一つのポスト・仕事の特性,両者のベスト・マッチングにつながるフェアな報酬や成長支援,を目指す「人事の個別化」についての提言もなされました。「働くのにふさわしい場所」として自社を従業員に選んでもらうために積極的に投資を行うことが,従業員の貢献の増大,人事評価の適切性,さらには自社として従業員を選ぶことにつながることにもつながるため,コスト削減に汲々とすることの不適切さについても,強いメッセージが出されました。

 聴衆の方々は終始熱心に講演に聞き入り,活発な質疑応答もあり,予定より終了時間を15分オーバーして本フォーラムは成功裡に終了しました。

2025年2月5日

第29回「個別化する雇用関係に向けて~人事・経営・管理者・従業員それぞれが果たすべきこと~」

神戸大学経済経営研究所/神戸商工会議所主催

講演
個別化する雇用関係に向けて~人事・経営・管理者・従業員それぞれが果たすべきこと~
講師
江夏 幾多郎(神戸大学経済経営研究所)
会場
会場:神戸商工会議所3F役員会議室

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