RIEB Discussion Paper Series No.2026-J03
RIEB Discussion Paper Series No.2026-J03
タイトル
兵庫県中小企業の事業承継の現状と事業承継支援の課題-2025年兵庫県信用保証協会アンケート調査結果に基づく分析-
要旨
本稿では、兵庫県信用保証協会の保証利用企業を対象として2025年に実施したアンケート調査の結果を用い、中小企業における事業承継の実態と課題について分析した。本稿では、事業承継済み企業と事業承継未済企業に分けて、それぞれの経営状況、後継者の状況、事業承継に向けた準備状況、支援制度の認知度などについて整理した。分析の結果、事業承継の形態としては依然として親族承継が中心であるものの、2019年調査と比較してその比率はやや低下していることが確認された。一方で、従業員承継の比率には大きな変化はみられなかったものの、第三者承継の比率は増加しており、事業承継の形態の多様化が徐々に進んでいることが確認された。また、事業承継未済企業の中にも、比較的経営が安定している企業が一定数存在しており、経営が安定している段階から早期に事業承継の準備を進めることの重要性が示唆された。このことは、未済企業の問題が、業況悪化企業への事後対応だけではなく、黒字・安定企業が承継準備に入る前の初動支援の不足にもあることを示唆している。さらに、事業承継に向けた課題としては、後継者の決定、資金調達、経営者保証、関係者の理解など多様な課題が存在していることが明らかとなった。特に、事業の将来性や社内における右腕人材の不在、準備期間の不足といった非資金的課題が上位を占めており、金融支援と並んで人材面・経営面の支援を組み合わせることの重要性が示唆された。また、経営者保証については、二重保証(本調査では同一融資に関する狭義のものと複数の融資にわたる広義のものを区別できない)の割合が2019年の48.0%から2025年の28.5%へと大幅に低下するなど改革の進展が確認された一方、保証引き継ぎ時の金融機関による説明が十分に行われていないケースが多く、現場における実装上の課題が残されていることも明らかとなった。加えて、支援制度の認知度は必ずしも高くなく、制度の周知の必要性も確認された。これらの結果は、事業承継の円滑化のためには、早期からの支援や企業規模に応じたきめ細かな支援が重要であることを示唆している。
連絡先
神戸大学経済経営研究所家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp
神戸大学経済経営研究所
尾島 雅夫
摂南大学経済学部
小塚 匡文
大阪商業大学総合経営学部
深沼 光
日本大学 理工学部/神戸大学経済経営研究所/東洋大学国際PPP研究所
藤木 秀明
愛知学院大学商学部
橋本 理博
阪南大学経済学部
村上 敬進
神戸大学経済経営研究所
楊 子鶴
