RIEB Discussion Paper Series No.2025-J04
RIEB Discussion Paper Series No.2025-J04
タイトル
インフレは生活を豊かにするのか?インフレなき賃金上昇の途
要旨
インフレが物価高という名で生活苦をもたらしているのに、インフレを待望した「物価と賃金の好循環」を疑う声は高まらず実質賃金の下落が続いている。暮らし向きの改善には、賃金・所得の増加は必須だが、そのためにはインフレは論理的には必要ないし、逆に実際には暮らし向きを悪化させている。インフレと賃上げでは、優先すべきは賃上げであり、また必ずしもインフレを先行させる必要ない。賃金は、会社・個人の業績によって決まるもので、インフレ自体では実質賃金の上昇は望めない。本稿では、好循環論等のインフレ待望政策を批判的に検討するとともにインフレを伴わない賃上げの方途について考えていく。そのなかで、賃上げに対する経営の責任と政府自身が率先すべき賃上げ策として、エッセンシャルワーカーの処遇改善などを挙げた。
キーワード
物価と賃金の好循環; フィリップス曲線; コーポレート・ガバナンス改革; エッセンシャルワーカー
分類コード
E52, E58, E61, E64, J3, I3
連絡先
神戸大学経済経営研究所 リサーチフェロー高橋 亘
E-mail: wtaka.oue@gmail.com