RIEB Discussion Paper Series No.2024-J10

RIEB Discussion Paper Series No.2024-J10

タイトル

学力向上と格差解消:大阪市のSESデータを利用した実証分析

要旨

 本研究は、大阪市における家庭の社会経済的背景(Socio-Economic Status:SES)が児童生徒の学力に与える影響を分析する。SESのデータとしては、2016年と2023年の「大阪市 子どもの生活に関する実態調査」で行われた保護者調査を用いる。学力については、全国学力・学習状況調査の結果を用いる。その結果、学校のSES指数と学力は高い相関係数を示した。次に、大阪市の学力向上は、授業を改善するというものであり、教育施策の全市的な実施により大阪市の平均的学力が向上したことを確認できた。社会経済的背景を学校のSES指数で4つのレベルに分けて、SES指数が低い学校において、学力がどのように変化したかも分析したところ学力向上施策は社会経済的状況が相対的に最も不利な学校群レベル1に対しても効果を発揮し、施策実施前から実施後にかけて、すべてのレベルで学力向上が見られることが明らかになった。特に、レベル1よりもさらに対象を絞って、最もSESが低い小学校20校と中学校10校に限っても、学力の向上が見られた。これらのことから、授業改善を通じた大阪市の学力向上施策が社会経済的状況の差に基づく教育格差を緩和する上で有効性があることが分かった。

キーワード

SES, 大阪市、学力向上、全国学力・学習状況調査、教育格差

分類コード

I24, I28

連絡先

〒657-8501
神戸市灘区六甲台町2-1
神戸大学経済経営研究所
西村 和雄
TEL: 078-803-7036 FAX: 078-803-7059

同志社大学経済学部
八木 匡

大阪市総合教育センター
古閑 龍太郎

同志社大学経済学部
岩澤 政宗

大阪市総合教育センター
谷口 璃華

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