RIEB Discussion Paper Series No.2024-J08

RIEB Discussion Paper Series No.2024-J08

タイトル

環境意識と投資・消費行動-ゆうちょ財団「第6回 暮らしと生活設計に関する調査」に基づく分析-

要旨

 各種の調査によると、ESGやSDGsの認知度は年々上昇し、環境に配慮した消費行動を取る人は増加している。しかし、金融面に焦点を当てると、個人の行動にそうした環境配慮型の投資行動が十分に見られないことが指摘されてきた。そこで、本論文は、ゆうちょ財団が実施した「第6回 くらしと生活設計に関する調査」を基に、環境意識と金融行動の関係を分析した。その結果、環境意識が高い個人は、必ずしも金融リテラシーが高くないことが示された。そして、環境リテラシーが高くても、金融リテラシーが低い人の場合、社会的に貢献度の高い企業への投資に積極的ではない傾向が見られた。この結果は、スウェーデンの家計を分析した先行研究と一致しており、環境意識が高い個人はしばしば金融知識に乏しく、金融行動を通じて環境に貢献できることを知らないことが一因であると考えられる。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

名古屋学院大学経済学部
上山 仁恵

日本語