RIEB Discussion Paper Series No.2024-J05
RIEB Discussion Paper Series No.2024-J05
タイトル
44年後の「フェルドスタイン・ホリオカ・パズル(パラドックス)」:合成の誤謬
要旨
数十年前以来、金融市場が急速にグローバル化・自由化されつつあるが、にもかかわらず、各国間で国内貯蓄と国内投資との間に高い相関があるといったFeldstein and Horioka (1980)の分析結果はパズルまたはパラドックスとしてみなされてきた。しかし、本稿は、金融市場において摩擦がなく、各個人が自由に資本を海外に移転することができたとしても、財市場において、輸送費、関税、非関税障壁、基準・認証制度などのような摩擦があれば、国全体が自由に資本を海外に移転することができるとは限らず、各国間で国内貯蓄と国内投資との間に高い相関があるといった「フェルドスタイン・ホリオカ・ファインディング」が見られる可能性があるということを示す。事実、国全体が自由に資本を海外に移転できることを妨げている要因として、(特に短期において)金融市場における摩擦よりも、財市場における摩擦のほうが重要であるという証拠がある。
キーワード
金利平価; 金融市場における摩擦; 金融市場のグローバル化・自由化; 合成の誤謬; 国際資本移動; 財市場における摩擦; 資本規制; 貯蓄と投資の間の相関; 貯蓄保持係数; 貿易費用; 貿易摩擦; フェルドスタイン・ホリオカ・パズル(パラドックス); フェルドスタイン・ホリオカ・ファインディング; 利子率の平準化
分類コード
F15, F21, F32, F36, F41, G15
連絡先
神戸大学経済経営研究所/神戸大学計算社会科学研究センター/大阪大学社会経済研究所/公益財団法人アジア成長研究所/National Bureau of Economic Researchホリオカ、チャールズ ユウジ
E-mail: horioka@rieb.kobe-u.ac.jp