RIEB Discussion Paper Series No.2024-J01

RIEB Discussion Paper Series No.2024-J01

タイトル

大株主と利益の質―レビューと将来研究の展望―

要旨

 世界のほとんどの企業には大株主が存在する。大株主は属性や保有比率に応じた発言力や売却の脅威を通じて、コーポレート・ガバナンスに影響を与えることから会計情報を左右していると報告されている。この関係について先行研究では各種の大株主が研究対象となっており、さらに大株主が複数存在する場合の相互の関係、大株主が同業他社の大株主でもある場合(共通株主)も論点となっている。そこで本稿では大株主と会計情報の関係について利益の質に着目し、複数大株主や共通株主に対する論点を含め実証研究をレビューした。本稿では大株主の属性や相互関係等が利益の質への影響を特徴づけていることを示し、最後に先行研究の発見事項をベースに今後のわが国の研究の方向性について整理している。

キーワード

大株主; 複数大株主; 共通株主; 利益の質; 発言; 退出

連絡先

〒657-8501
神戸市灘区六甲台町2-1
神戸大学経済経営研究所
榎本 正博
日本語