RIEB Discussion Paper Series No.2023-J03

RIEB Discussion Paper Series No.2023-J03

タイトル

本邦株式市場におけるリスク・リターン関係とヘッジ動機

要旨

 本論文では,日本の株式市場ポートフォリオにおけるリスク・リターン関係(risk-return relationship)の時系列的な特性を,ヘッジ動機との関連に注目しながら検討する。まず,異時点間CAPM(capital asset pricing model)に基づき,ヘッジ動機の顕在化と潜在化が切り替わるレジーム転換モデルを構築し,景気循環との関連性を分析した。さらに,金融市場のグローバル化の観点から,日米の株式市場が完全に独立している標準的なモデルだけでなく,両者が完全に統合されているモデルを世界CAPMに基づいて追加的に検証した。日米の株式市場が統合されているか否かに関わらず,ヘッジ動機が潜在化しているような安定的な時期において,リスク・リターン関係が有意に正であることが確認された。また,事後的に推定されたヘッジ動機が顕在化する時期は,景気後退期間と概ね整合するものの,景気後退期間とみなされないような軽微な景気悪化の際にもヘッジ動機が生まれることが分かった。

キーワード

リスク・リターン関係; 異時点間CAPM; ヘッジ動機; 景気循環; 世界CAPM

分類コード

C58, G11, G12, G15

連絡先

香川大学経済学部
神戸大学経済経営研究所 ジュニア・リサーチフェロー
早木 祥夏
日本語