RIEB Discussion Paper Series No.2023-J02

RIEB Discussion Paper Series No.2023-J02

タイトル

人事管理における研究と実務の関係性:架橋を目指す研究が達成してきたもの,しきれなかったもの

要旨

 人事管理に関する研究と実務の形成・発展は,この100年ほどの出来事である。研究者の立場からすると,実務の動向を横目に見ながら理論構築がなされつつ,⼀部の研究者が理論的観点を実務に還元しようとする歴史であった。しかし研究者と実務家は,人事管理という同じものを違うように捉えてきた。このことは研究者と実務家の双方とってどのような意味を持つのだろうか。また,そうしたギャップに,両者はどう向き合ってゆけばいいのだろうか。本稿では,まず,人事管理研究における実務志向のあり方について,アメリカと日本において100年前後にわたって産出されてきた成果のうちのいくつかに着目して,例証する。これらの成果は,固有の時代背景に根ざした研究関心の上に成り立っており,観察対象としての人事管理実務をより良いものにするためのメッセージが著者によって込められてきた。次に,近年の海外の先行研究をもとに,科学的な厳密性が確保されたれた研究知が実務界に十分に普及していない,人事管理の実務家と研究者が関心を共有していないことを示す。こうしたギャップを前に,研究と実務の架橋のために研究者がなしうることについても検討する

キーワード

人事管理; 研究; 実務; 科学的厳密性; 実務的有用性

連絡先

〒657-8501
神戸市灘区六甲台町2-1
神戸大学経済経営研究所
江夏 幾多郎
E-mail: enatsu@rieb.kobe-u.ac.jp

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