RIEB Discussion Paper Series No.2022-J07

RIEB Discussion Paper Series No.2022-J07

タイトル

ポストコロナにおける専門家との連携と地域金融機関のビジネスモデル-税理士に対する意識調査(2022年5月実施)の結果の概要報告-

要旨

地域金融機関による地域企業に対する支援への期待が高まっているが、地域金融機関だけでは十分な支援が行えず、税理士との連携はきわめて有効だと考えられる。筆者らは、これまで実施してきた調査をベースにして、2022年5月に税理士・公認会計士を対象にする調査を実施し、455人から回答を得ることができた。本稿は、その主な結果を紹介することを目的にしている。得られた主な結果は次のようなものである。すでに多くの企業が税理士に対して税務相談以外の相談をしており、多くの税理士がそれに対応している。コロナ禍での顧問先企業と税理士等の関係はより緊密になっており、税理士等の助言の幅も非常に広がっている。顧問先企業の経営課題を支援するにあたって税理士等が連携したい支援機関としては、約半数が金融機関をあげていることから、金融機関との連携の見込みは高い。ただ、現状では金融機関と税理士等の連携関係は十分ではない。たとえば、「経営者から事業承継の悩みを相談された場合に、金融機関へ相談するように促すか」に対して、積極的に促すとの回答は3割程度にとどまっている。税理士等と金融機関の担当者や支店長が日頃からの関係が密である場合に、この比率が上がるという結果が得られており、日常的な関係性の構築の重要性が示唆された。このように、本調査からは、ポストコロナにおいて、地域金融機関が税理士等との連携を強化し、新しいビジネスモデルを構築していくためのヒントが豊富に得られた。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

神戸大学経済経営研究所
尾島 雅夫

熊本学園大学経済学部
米田 耕二

神戸大学経済経営研究所
古田 永夫
日本語