RIEB Discussion Paper Series No.2022-J06

RIEB Discussion Paper Series No.2022-J06

タイトル

感染症の社会経済史的考察:COVID-19対応への含意を見据えて

要旨

2019年末以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大を受けて、過去の感染症流行への関心が高まっている。最初の患者発生が報告されてから2年以上が経過し、さまざまな知見が蓄積される一方、専門家(研究者)と政治の関わり方についての問題提起もなされている。感染症への具体的な対応を考えるにあたり、自然科学のみならず人文社会科学の知見を踏まえて、社会への貢献を探る動きもみられる。社会経済史的な観点からみると、仮に病理学的に類似する感染症であっても、それぞれの時代や地域における社会のあり方によって、流行の社会的影響は大きく異なり、軽々に論じることが難しい面もある一方、それぞれの時代や地域における社会のあり方の違いが、感染症流行のような稀有の出来事の社会的影響にどのような違いをもたらしたのかを知ることは、現代に生きるわれわれに有益な示唆を与えてくれる。本稿では、過去における感染症の世界的な流行の事例について先行研究に基づいて概観したうえで、感染症流行の社会的影響について歴史的観点からの整理を試みるとともに、政策との関係を含めて現代への含意を探る。

連絡先

早稲田大学政治経済学術院
神戸大学経済経営研究所 リサーチフェロー
鎮目 雅人
E-mail: masato.shizume@waseda.jp
日本語