RIEB Discussion Paper Series No.2022-J01

RIEB Discussion Paper Series No.2022-J01

タイトル

住宅ローン利用者の自然災害に関する意識と金融リテラシー

要旨

自然災害が頻発するようになってきており、自然災害に対する備えが求められている。実際の被災者において必ずしも十分な備えができていない。その一因して、リスク認識が十分ではないことが考えられる。われわれは、住宅購入者を対象にして、住宅購入時のリスクについての意識や、リスクに対する備えとして保険の購入についての状況を、その人の金融リテラシーとの関係で分析してみることを意図して、2021年10月に、「自然災害を踏まえた住宅ローン利用者の地域選択と金融機関のリスク管理に関する調査」を実施し、2200人からの回答を得ることができた。本稿は、この調査結果の概要を紹介することを主たる目的とし、あわせて、金融リテラシーとの関係、被災経験との関係、回答者の居住地域の地震リスクとの関係についての分析結果を紹介している。近年、自然災害リスクへの認識は高まっているが、金融リテラシーの高い人ほどリスク認識が高い。また、リスクに応じた保険料率に対しても、金融リテラシーの高い人ほど是認する傾向にある。また、現在、水災保険料率はリスクにかかわらず一律であることが影響していると思われるが、金融リテラシーの高い人ほど水災保険をはずしている傾向が見られた。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

名古屋学院大学経済学部
上山 仁恵
日本語