RIEB Discussion Paper Series No.2020-J13

RIEB Discussion Paper Series No.2020-J13

タイトル

ふるさと納税の構造推定

要旨

本研究では、ふるさと納税に関する理論モデルを構築し、モデルにおけるパラメータを構造推定することで、近年問題になっている、ふるさと納税の返礼品競争が社会厚生に与える影響のシミュレーションを行った。その結果、まず、2019 年に導入された、返礼割合の上限を3 割とする規制については、総余剰の観点から一定のプラスの影響をもたらすものの、それではまだ不十分であり、返礼割合をより低水準に抑えることが総余剰最大化の観点から最適である可能性があることが示された。次に、各自治体が収入最大化を目的として返礼割合を設定する形で返礼品競争が激化し、ナッシュ均衡が達成された場合、返礼割合は平均して約6 割強となり、総余剰が最適な場合と比べて約1,500 億円減るという、社会厚生の観点から望ましくない状態になることが明らかになった。

連絡先

東京大学大学院経済学研究科修士課程
神戸大学経済経営研究所ジュニア・リサーチフェロー
深澤 武志
E-mail: fukasawa3431@gmail.com
日本語