RIEB Discussion Paper Series No.2020-J12
RIEB Discussion Paper Series No.2020-J12
タイトル
住宅ローンの供給拡大の是非を問う
要旨
本稿は、1970年以降、日本において住宅ローンの供給が大幅に拡大したことを示し、それによって、日本の家計がどのようなメリット・デメリットを受けたのか、また住宅ローンの供給拡大は総合的に日本の家計にとって良いことだったのか否かについて検証する。一方では、住宅ローンの供給拡大は住宅購入を容易にしたことで、より若い年齢での住宅購入を可能にし、家賃地代の負担を軽減させたが、他方では、家計の住宅ローン返済の負担を増加させ、これにより家計の非住宅消費を抑制し、金融資産保有額の増加率を引き下げたことが示された。これまでは、メリットがデメリットを上回り、住宅ローンの供給拡大は日本の家計の厚生を上げたと考えられるが、将来を見通す際、懸念材料がいくつかあり、政府の対応が求められると結論付ける。
キーワード
住宅金融; 住宅購入; 住宅ローン; 持家率; 家賃地代
分類コード
D14, E21, R21
連絡先
神戸大学経済経営研究所/公益財団法人アジア成長研究所/大阪大学ホリオカ、チャールズ ユウジ
E-mail: horioka@rieb.kobe-u.ac.jp
同志社大学政策学部/アジア成長研究所
新見 陽子