RIEB Discussion Paper Series No.2020-J11

RIEB Discussion Paper Series No.2020-J11

タイトル

日本の新型コロナウイルス感染症拡大の現状と感染リスク

要旨

本稿では、日本国内における新型コロナウイルス感染症の感染状況と感染リスクについて、統計的に論ずる。第1に、新型コロナウイルスの感染リスクを3つに分けて定義し、そのリスクマネジメントの定義についても整理する。第2に、厚生労働省とソフトバンクグループが実施した抗体検査の結果から2020年6月初旬時点での新型コロナウイルスに感染している確率を試算する。その結果は0.2%程度であると推測される。第3に、各都道府県で実施されているPCR検査の結果を用いて、2020年6月初旬時点での「37.5 度以上の発熱が4 日以上続く」症状を発症した際の新型コロナウイルスに感染している確率を試算する。その結果は8%程度であると推測される。以上の結果とベイズ定理を応用すると、新型コロナウイルスに感染しても無症状である確率が高いことが示唆される。最後に、今後の第2 波に備えて、無症状の新型コロナウイルス感染者が多いという特徴を念頭においた経済政策や日常生活様式について私見を述べる。

キーワード

新型コロナウイルス感染症; 感染リスク; 感染確率; 条件付確率; ベイズ定理

連絡先

神戸大学経済経営研究所/計算社会科学研究センター(CCSS)
柴本 昌彦
E-mail: shibamoto@rieb.kobe-u.ac.jp
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