兼松セミナー

兼松セミナー(「紛争と秩序」研究会共催)

2021年3月26日(金)15:00 ~ 17:00

兼松セミナー

「紛争と秩序」研究会共催

日時 2021年3月26日(金)15:00 ~ 17:00
会場 Zoom利用によるオンラインでの開催
対象 教員、院生、および同等の知識をお持ちの方
使用言語 日本語
参加登録 ※事前登録制です。下記より参加登録をお願い致します。追って、招待URLをご連絡いたします。
Google form 参加登録 (締切:3/19)
15:00 ~ 17:00
論題
オランダ東インド会社外交の法的側面
報告者
大東 敬典(東京大学史料編纂所)
概要
 本報告は、オランダ東インド会社がアジア各地の政治的支配者と作成した合意文書を手掛かりに、会社外交の法的側面に光を当てる。
 17~18世紀、オランダ東インド会社はアジア各地を結ぶ広範な貿易活動を推進したが、そうした貿易ネットワークは、進出地域の支配者たちと結んだ様々な合意によって構築された外交ネットワークという側面を強く持っていた。会社と政治権力との合意はしばしば文書化され、オランダ語版と現地語版の両方が作成されたが、現存する文書の大部分はオランダ語版である。それらの文書は20世紀はじめオランダにおいて『蘭領東インド外交文書集Corpus diplomaticum Neerlando-Indicum』編纂の際の素材となり、オランダ外交史研究の基礎をなしたが、その背景には蘭領東インドにおける植民地権力の歴史的発展を把握しようという、時代の要請を受けた動機があった。その一方、外交文書として収録された文書が元々どのようなものだったのかについては、これまで十分な検討がなされてこなかった。
 そこで本報告では、残された合意文書に即して、今一度オランダ東インド会社の外交の実態について考える。まず、アジアにおいて条約を締結する権利を会社に与えた、オランダ連邦議会による特許状octrooiを確認する。その上で、会社が実際にどのように条約を作成、保管、収集していたのかを見る。その際Contractboekと呼ばれる、会社が作成した合意文書集に着目する。同史料は、上記の外交史料集の主要典拠でありながら、これまで十分な検討がなされてこなかった。最後に、合意文書の内容についても触れたい。アジアにおける会社の法的立場は一外国商人から統治者、征服者まで地域によって多様であった。日本、台湾、マラッカ、ペルシアの事例からその点を確認するとともに、地域間の共通点についても考えてみたい。
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