江夏 幾多郎

江夏 幾多郎Ikutaro ENATSU

役職 准教授
研究部門 企業競争力
生年月 昭和54年
学歴 2003年3月  一橋大学 商学部 卒業
2005年3月  神戸大学大学院 経営学研究科 博士前期課程 修了
2008年3月  一橋大学大学院 商学研究科 博士後期課程 単位取得満期退学
学位 2005年3月  修士(経営学) 神戸大学
2009年3月  博士(商学)一橋大学
職歴 2008年4月  名古屋大学大学院経済学研究科 講師
2011年4月  名古屋大学大学院経済学研究科 准教授
2019年9月  神戸大学経済経営研究所 准教授
研究分野 産業組織
研究課題 人的資源管理・処遇の公正性、雇用管理における情報技術
研究課題 https://researchmap.jp/read0156647/

研究活動<概要>

 企業における人事管理に関して様々な角度から研究・調査を行ってきており,その一部を紹介したい。
 第一に,人事評価についての従業員の認識メカニズムについて,国内外でのフィールド調査や質問表調査を行っている。公正であることは,従業員が人事評価に納得する事の有力な条件であることは当然だが,その条件が整わなくても従業員は人事評価に納得することがある。そうした納得は,例えば,組織に所属して働くことで得られる意味のある報酬が人事評価と関わらない部分においても存在している時,あるいは人事評価に関連したコミュニケーションそのものに対して実際の評価の高低に還元されない有意義さを見出したときに現れる。つまり,人事評価を実際に行う管理者による,人事評価制度を「使いこなす」「使い倒す」という姿勢が,従業員の納得感の鍵となる。
 第二に,組織レベルでの人事管理と業績の間の因果関係を明らかにできるような,人事管理の測定のあり方の開発を行っている。従来の研究では,組織の人事管理の実態について,人事部長のような特定の回答者の解釈のみに頼って描いてきた。しかしそれでは,個人の視点の妥当性の低さ,実態についての解釈が多様でありそのことが組織業績にインパクトを与えている可能性の無視,といった問題が生じてしまう。そこで私は,課レベルの職場を分析単位とし,そこに所属するメンバーすべての回答をもとに,様々な人事施策の実態についての知覚の平均値や分散などを導出し,課レベルの業績との因果を推定しようとしている。同じサンプルから,人事管理と業績の関係について,「個人レベル→個人レベル」というミクロレベル,「集団レベル→個人レベル」というマルチレベル,「集団レベル→集団レベル」というメゾレベルの間の比較が行えるようになる。組織現象における創発特性の実態の解明にもつなげていきたい。
 第三に,「ピープルアナリティクス」「HR Tech」といった流行語に見られるように,近年の人事業務には情報技術が導入されつつあるが,それにより人事専門職が備えるべきコンピテンシーにどのような変化が生じるのかについて,観察を始めている。現状では,人事の専門職の多くにおいて,数量的データをもとにした因果推定や,解析結果の実務への展開という点で課題が見られる。こうした状況では,たとえ情報系の人事業務サービスが開発されたとしても,期待された効果は発揮されないだろうし,業務サービスそのものの十分な刷新も期待できない。情報技術を通じて人事業務の質を向上させるため,サービス提供者,人事専門職,そして研究者がどのように関わり合えばいいのかについて,アクションリサーチの手法も活用しながら解を導出したいと考えている。


研究業績

研究業績

著書

Title Publishing Date
人事管理―人と組織,ともに活きるために 平野 光俊・江夏 幾多郎(担当:共著) 有斐閣 2018年
人事評価における「曖昧」と「納得」 江夏 幾多郎 NHK出版 2014年

分担執筆

Title   publishing Date
人材育成ハンドブック 人材育成学会 (担当:分担執筆, 範囲:pp.213-217) 金子書房 2019年
日本の人事システム―その伝統と革新 上林 憲雄・平野 光俊 (担当:分担執筆, 範囲:pp.42-62) 同文舘出版 2019年
デジタル・ワークシフト―マーケティングを変えるキーワード30 栗木 契・横田 浩一 (担当:分担執筆, 範囲:pp.268-30, pp.325-333.) 産学社 2018年
人事の潮流―人と組織の未来像 経団連出版(担当:分担執筆, 範囲:pp.79-102) 経団連出版 2015年
経営行動科学ハンドブック 経営行動科学学会 (担当:分担執筆, 範囲:pp.332-337, pp.457-462) 中央経済社 2011年

査読付き論文

Title   Date
ブラザー工業―本社による支援を通じた海外拠点の自律化 (中野 浩一・江夏 幾多郎・初見 康行・守島 基博)一橋ビジネスレビュー 61(2) 102-115 2013年
国際人事管理―日本企業は何をなしてきたのか 経済科学 60(3) 137-146 2013年
人事システムの内的整合性とその非線形効果―人事施策の充実度における正規従業員と非正規従業員の差異に着目した実証分析 組織科学 45(3) 80-94 2012年
社員格付原理としての役割主義の機能要件―人事部の権限と体制に着目して (江夏 幾多郎・平野 光俊)組織科学 45(3) 67-79 2012年
アサヒビール―職場の人材形成における伝統の保持と刷新 一橋ビジネスレビュー 58(4) 168-183 2011年
正規従業員と非正規従業員の間での均衡処遇と組織パフォーマンス 経営行動科学 24(1) 1-16 2011年
日本企業の職場の国際化と留学生のキャリア教育―高度外国人材の活用と定着 (土井 康裕・江夏 幾多郎)留学生教育 15 27-34 2010年
処遇に対する公正感の背景―不透明な処遇を従業員はいかに受容するか 経営行動科学 23(1) 53-66 2010年
処遇に対する公正感の構造―人事処遇制度の職場での運用実態に関する事例研究 一橋大学 1-210 2009年
非正規従業員への人事諸施策の充実と正規従業員の就労意識―『労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査』の再分析 日本労働研究雑誌 (570) 68-81 2008年
ヤマト運輸―「現場の経営者」たちが支える競争力と彼らへの人材マネジメント 一橋ビジネスレビュー 55(3) 138-153 2007年
人材マネジメント改革の論理―人事スタッフの意識・行動の分析を通じた組織過程のダイナミズムの探求 神戸大学 1-156 2005年

査読無し論文

Title   Date
情報技術の進展に人事はどう向き合うべきか オムニ・マネジメント 2019(6) 8-11 [招待有り] 2019年
人事評価における2つの「かんじょう」 試験と研修 (041) 31-318 [招待有り] 2018年
日本企業における人事評価への納得感 労働経済春秋 11 25-31 [招待有り] 2016年
利害調整活動としての人事管理―理論と応用 一橋大学マネジメント・イノベーション研究センターワーキングペーパー (179) 1-19 2014年
労働調査研究の現在―2010~12年の業績を通じて(井手 亘・江夏 幾多郎・平野 光俊・堀田 聰子) 日本労働研究雑誌 (632) 2-47 [招待有り] 2013年
従業員はいかに処遇を受容するか―日本と中国の職場から 国民経済雑誌 208(1) 37-58 [招待有り] 2013年
国際人事管理―日本企業は何をなしてきたのか 経済科学 60(3) 137-146 [招待有り] 2013年
Employee Grading Principles of Japanese Firms: Complementary Relationship with Power and Information Capabilities of the Human Resources Department MIC Working Paper (156) 1-47 2012年
新しい人事処遇制度の導入のための人事部スタッフの戦略―ライン従業員が周囲に対して抱く「信頼」の整理に基づく試論 一橋大学マネジメント・イノベーション研究センターワーキングペーパー (56) 1-15 2007年

学会報告活動

講演・口頭発表等

Title Conference Date
処遇の公正性と従業員の時間的展望-状況に調整される認知プロセス 2019年度組織学会研究発表大会 2019年
人事管理研究におけるマクロ視点 2018年度組織学会年次大会 2018年
(米岡 秀眞・江夏 幾多郎)効率賃金仮説に関する実証分析―汚職・規律違反と地方公務員給与の関係 日本応用経済学会2016年度秋季大会 2016年
「総合的公正判断(General Fairness Judgment)」の背景と帰結 経営行動科学学会第19回年次大会 2016年
(米岡 秀眞・江夏 幾多郎)汚職と規律違反の要因分析―パネルデータによる仮説検証 経営行動科学学会第19回年次大会 2016年
職員年齢構成の歪みが自治体人事と財政に与える影響―退職イベントを契機とした職員年齢構成の安定化方策に関する実証分析 日本労務学会第46回全国大会 2016年
処遇が受容される状況―ヒューリスティクスとしての正義感の構成 経営行動科学学会第17回年次大会 2014年
人事部門の権限と体制が人事システムの機能性に及ぼす影響 日本労務学会第42回全国大会 2012年
処遇の受容可能性,道理性,正義 経営行動科学学会第14回年次大会 2011年
人事管理論における実践的転回 経営行動科学学会第14回年次大会 2011年
人事管理の意思決定構造と人事部の体制 経営行動科学学会第12回年次大会 2009年
非正規従業員の基幹化と均衡処遇の経済的効果 経営行動科学学会第12回年次大会 2009年
公正感とはいかなる知覚か 行動経済学会第3回年次大会 2009年
成果主義の現場化 2007年度組織学会研究発表大会 2007年
非正規従業員増加の正規従業員への影響に関する分析 経営行動科学学会第9回年次大会 2006年
新人事システム定立過程における相互作用関係の分析 2005年度組織学会研究発表大会 2005年

社会活動

所属学会

  • Academy of Management
  • 組織学会
  • 経営行動科学学会
  • 日本労務学会

委員歴

  • 日本労務学会 第50回全国大会プログラム委員会 委員長, 2019年6月 -
  • 経営行動科学学会 中部部会長, 2018年4月 -
  • 日本労務学会 50周年記念行事準備委員会 委員, 2017年11月 -
  • 日本労務学会 第49回全国大会プログラム委員会 委員, 2018年6月 - 2019年6月
  • 組織学会 大会委員会 委員, 2017年9月 - 2019年6月
  • 日本労務学会 中部部会担当理事, 2015年9月 - 2017年6月
  • 愛知労働局 愛知県地方最低賃金審議会 公益委員, 2015年6月 - 2017年3月
  • 経営行動科学学会 中部部会長, 2010年12月 - 2014年3月
  • 経営行動科学学会 第16回年次大会運営委員会 委員, 2012年11月 - 2013年10月
  • 総務省 地方公共団体における人事評価制度の運用に関する研究会 専門委員, 2012年8月 - 2013年3月
  • 経営行動科学学会 人的資源研究部会長, 2010年4月 - 2011年3月

研究助成金(競争的資金等の研究課題)

 
2019年4月 - 2022年3月 科学研究費補助金:基盤研究(C)「日本の人事管理研究についての計量的学説史レビュー」(研究代表者)
2017年4月 - 2020年3月 科学研究費補助金:基盤研究(C)「国際経営における経営理念共有の実態と理念共感のマネジメントに関する研究」(研究分担者)
2015年4月 - 2018年3月 科学研究費補助金:挑戦的萌芽研究「人事管理のシステム性に関する研究」(研究代表者)
2015年4月 - 2018年3月 科学研究費補助金: 基盤研究(B)「公正な雇用ポートフォリオモデルの構築と雇用管理区分管理手法の開発」(研究分担者)
2012年4月 - 2014年3月 科学研究費補助金: 若手研究(B)「処遇の受容についての理論的・経験的研究」(研究代表者)
2010年4月 - 2012年3月 科学研究費補助金: 若手研究(B)「人事部の地位を規定する要因についての研究」(研究代表者)
2009年4月 - 2013年3月 科学研究費補助金:基盤研究(B)「経営学の実践的転回」(研究分担者)
2008年10月 - 2010年3月 科学研究費補助金:若手研究(スタートアップ)「「雇用の均等化」への正社員の反応と組織的インパクトについての研究」(研究代表者)

受賞歴

  • 2015年2月 永井科学技術振興財団 財団賞(奨励賞)
  • 2012年8月 労働政策研究・研修機構 労働関係論文優秀賞
  • 2011年11月 経営行動科学学会 奨励研究賞
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