神戸大学金融研究会
神戸大学金融研究会12月例会
Monetary Economics Seminar of Kobe University
第627回
兼松セミナー共催
Jointly supported by Kanematsu Seminar
日時 Date & Time |
2024年12月14日(土)14:00~17:15 |
---|---|
会場 Place |
経済経営研究所 会議室(新館2階) Meeting Room at RIEB (Annex, 2nd Floor) |
対象 Intended Audience |
会員の方のみ The seminar is for the workshop members only. |
使用言語 Language |
日本語 Japanese |
備考 Note |
報告資料は参加者のみに事前にお送りします Slides data will be sent to the attendees only. |
14:00 ~ 15:30
- 論題
Topic - 中央銀行デジタル通貨と決済の未来に向けた取り組み
- 報告者
- 別所 昌樹(日本銀行神戸支店 支店長)
Masaki BESSHO (General Manager, Kobe Branch, Bank of Japan) - 概要
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組みが多くの国で進められている。現時点でわが国に発行計画はなく、導入するか否かは国民的な議論を経るべきものだが、日本銀行でも技術面、制度設計面の検討を続けている。技術面では、2021年に概念実証を開始し、2023年からはパイロット実験を進めている。検討に際しては、①現金に並ぶ決済手段の導入、②民間決済サービスのサポート、③デジタル社会にふさわしい決済システムの構築、の3つを念頭に置くとともに、「水平的共存」(様々な決済手段の機能に応じた役割分担)と「垂直的共存」(多様な主体の関与)という2つの「共存」を重視している。また日本銀行では、BISのホールセール決済実験プロジェクト「アゴラ」に参加するなど、決済の未来に向けた取り組みをCBDCのみにとどまらず進めている。
15:45 ~ 17:15
- 論題
Topic - 日本銀行バランスシートの削減余地はどこまであるか?
- 報告者
- 白塚 重典(慶応義塾大学経済学部)
Shigenori SHIRATSUKA (Department of Economics, Keio University) - 概要
- 非伝統的金融政策による大規模金融緩和からの出口戦略において、中央銀行は、政策金利とバランスシート規模の調整を進める必要がある。その際、政策金利の調整は、計測上の不確実性が存在するとはいえ、中立金利という政策指針が存在する。これに対して、バランスシートの調整には、そのような指針は存在せず、主要先進国の中央銀行は、手探りでバランスシートの縮小を進めてきた。本論文では、日本銀行バランスシートの削減余地について、資産サイドと負債サイドの双方に着目して検討する。まず、資産サイドについては、イールドカーブ変動を通じた政策金利の波及メカニズムを円滑に機能させるために、日銀が強調してきた国債買入のストック効果が無視できる水準まで保有残高を削減することが、最低限必要となる。そのために必要な保有残高の縮小規模について、日本銀行が日本国債を大量保有することによる長期金利押し下げ効果(ストック効果)を通じて検証する。次に、負債サイドについては、資産サイドの圧縮に応じて、大量の超過準備をどこまで削減できるかを確認しておく必要がある。この点について、コールレートと日銀当座預金残高の予期せぬ変動に対するコールレートの感応度を推計することを通じて、先行きの削減可能性について検討する。