歴代所長:家森信善

神戸大学経済経営研究所長 家森信善

 経済経営研究所は、1919年に神戸高等商業学校に設置された商業研究所を起源としています。国立大学の社会科学系附置研究所の中で最も長い歴史と伝統があり、経済学だけではなく、経営学や会計学のトップクラスの研究者を擁して多くの研究実績を残してきました。また、最近では、文理融合型の研究も進み、計算社会科学の分野の研究をする教員が増えるなど、時代の要請にあわせて研究領域を拡大しています。
 経済経営研究所は、研究者向けの研究会を非常に活発に開催していますが、近年は、社会に向けた研究成果の発信にも力を入れています。たとえば、2020年10月には、金融庁の前長官、中小企業庁の金融課長、全国的な税理士団体の会長、地元信用金庫の理事長などを登壇者に招いて、「地域金融機関と信用保証協会の事業承継支援-現状とポストコロナ時代の課題-」というテーマのシンポジウムを開催し、400名ほどの参加者を集めました。また、このシンポジウムは、神戸大学の学内組織の他に、兵庫県信用保証協会、アジア太平洋研究所(APIR)、近畿財務局などの外部組織からの共催・後援の協力を得て開催できました。このように、経済経営研究所は外部機関との連携に積極的に取り組んでいます。国からの運営費交付金が減る中で、外部連携を強化して経済経営研究所の研究活動の基盤を強化していきたいと考えています。
 研究所の競争力の源泉は良い研究者を集めて、思う存分研究をしてもらうことにつきます。したがいまして、教員組織の多様性に気を配りながら、教員組織の競争力を維持発展させていきたいと考えています。また、専任教員だけではなく、リサーチフェローや非常勤講師、外国人研究員などの制度を利用して、幅広い研究者の協力を得ながら、人的な基盤を充実させていきます。そうした人的な基盤をもとにして、先端研究の推進、文理融合研究の展開、歴史的な研究資料の整備といったこれまでの研究所の強みを伸ばしていく所存です。
 今後とも、神戸大学の理念である「学理と実際の調和」の実現を目指して、神戸大学らしい研究の拠点として発展できるように努めて参りますので、幅広いご支援を心よりお願い申し上げます。

2021年(令和3年)4月1日
神戸大学経済経営研究所長 家森信善

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