組織構造の分析と設計

研究活動

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ワークショップ開催予定



過去の開催状況

2012年度・第1回研究会 平成25年1月25日(金)  会場:経済経営研究所・調査室

論題「分配の正義」の認知・神経的基盤を探る:Rawlsと不確実性
報告者亀田 達也(北海道大学大学院文学研究科 教授)

論題企業の分配問題の最後通牒ゲームを基礎とした分析
−ラボ実験およびfMRI実験を用いて−
報告者山地 秀俊(神戸大学経済経営研究所 教授)
後藤 雅敏(神戸大学大学院経済学研究科 教授)

「いくつかの選択肢の中から自分が何を選ぶかで自分と他人の利得が決まる」 状況はゲームにおいてプレイヤーが直面する決定問題の典型です.
「何人かの複数の個人間への富の分配を第三者である自分が決める」状況はメカニズム デザインのプランナーの決定問題の典型です.
これらは具体例を考えても,モデルで記述しても,「自分の利害が関係するかしないか」 を含め本質的に異なる決定問題です.
しかし,この二つの問題のそれぞれに仮想的に直面する個人の脳の賦活をfMRIで調べたところ 思いがけない共通点が見つかるという話によりセミナーの聴衆は発表に引き込まれました.
2つのセミナーの内容は論文としては未公刊だそうなので,一日も早い公開が待たれます.


2011年度・第2回研究会 平成24年3月9日  会場:経済経営研究所・会議室

論題囚人のジレンマにおける協力的戦略の選択に対する非協力探知型情報構造の効果についての実験的研究
報告者鍵原 理人(福岡大学経済学部・准教授)

プレイヤー2人の囚人のディレンマゲームで,「協力」か「裏切り」のいずれ かの行動の選択が一人ずつ行われる状態を考えます.ところが今回のセミナーで紹介した実験のゲームには次のような特徴がありました.「プレイヤーにはそれぞれが先手であるか後手であるかは知らされません.ただし,先手が「裏切り」を選べば後手は自分が後手であることがわかります.しかし,先手が「協力」を選べば後手は自分が“相手が「協力」を選んだ後手”なのか“相手がまだ行動を選択していない先手”なのか判断することができません.」さてプレイヤーたちは一体どのような行動を選択するでしょう.
福岡大学のさまざまな学部に所属する学生を被験者としてこの実験は行なわれ,その結果は非常に興味深いものでした(どのような結果かは鍵原先生,西原先生,渡邉先生の論文を読んでみて下さい).豊富な理論分析を背景に実験を行ない,取ったデータで地道に計量分析を行なった体系的研究でした.


2011年度・第1回研究会 平成23年12月16日  会場:慶應義塾大学日吉キャンパス 協生館5階・中会議室

論題ソーシャルメディアにおける共創効果の一検討
報告者青木 輝勝(東北大学未来科学技術共同研究センター・准教授)

「ある仕事をするのにAさんはX時間,BさんはY時間かかります.協力すると何 時間で終わるでしょう.」これは小学校で仕事算と呼ばれ,XY/(X+Y)時間が正解です.しかし,これには「1人と1人が一緒に働いても,互いに良い影響も悪い影響もない」ことが前提とされています.青木先生は,このうちの良い影響を「共創」と呼び,この効果の定量的な測定や高めるためのシステムづくりには実験が有効な手段であることと,実験の構想を話されました.また当日は実験の手段としてこれから有効になりそうなアニメの活用についても紹介されました.今後の研究の進展が待たれる刺激的なセミナーでした.


2010年度・第4回研究会 平成23年3月24日  会場:経済経営研究所・会議室

論題企業経営における脳科学応用の現状とオンラインサービスへの適用研究紹介
報告者山川 義徳(NTTデータ経営研究所・シニアコンサルタント)

論題生理指標は"社会的判断"をどう描くのか?
報告者日置 孝一(神戸大学大学院経営学研究科・助教)

2010年度最後の研究会でした.本年度は4回研究会を開催しましたが本日を含め3回が脳に関するテーマでした.3回の研究会を通じて私が強く認識したことの一つに,脳は「設計図が描けない脆弱な精密機械」であるということがあります.精密なのですぐれた機能を数え切れないくらい多く持っている反面,設計図がないので性能はほとんど帰納的に知ることになり,脆弱なので実験には細心の注意を要するわけです.
経済や経営に関する人間の行動も,結局は多くの異なる脳の相互作用であると考えるならば,そのうち政策や戦略の一環として,人間の健康な脳にメスを入れたり電流を通したりするという「外科」的な方法や,薬剤を投入するという「内科」的な方法が真面目に語られるのではないかという気もします.しかし個人としては理にかなった教育と学習という「整骨院」にあたる方法で各個人のよりよい脳を作り,よりよい経済や経営が実現できればと思いますがそれは理想論でしょうか.


2010年度・第3回研究会 平成22年11月29日  会場:経済経営研究所・調査室

論題時間割引の脳機構: 神経経済学的アプローチ
報告者田中 沙織(大阪大学社会経済研究所・特任准教授)

ゲーム理論やマクロ経済学では,一人の個人についてはいくらもらう場合であっても時間割引率がいつもある決まった一定の値をとると仮定して理論モデルを構築しますが,その仮定自体の検証は未解決でした.田中先生のセミナーでは, fMRI 装置を用いてヒトの脳活動を計測し,割引率に関するデータを解析した結果が紹介されました.そこでは,異なる割引率での報酬予測には脳の異なる回路が関わることや,脳内物質であるセロトニンの濃度によって,異なる割引率での報酬予測に関わる脳部位が変化することなどが説明されました.人間の時間割引率の実態がヒトの脳の研究により明らかになっていくと,理論モデルの仮定もそれに合わせて変えていかなければならないかなと考えさせられたひと時でした.


2010年度・第2回研究会 平成22年9月28日  会場:経済経営研究所・調査室

論題Group Identity and Relation-specific Investment: An Experimental Investigation
報告者森田 穂高(ニューサウスウェールズ大学オーストラリアン・スクール・オブ・ビジネス・准教授)

今回の森田先生のセミナーでは,ホールドアップ問題を簡単な2人逐次決定ゲームで表現した実験を,急造の「仲間意識」を植え付けた被験者同士とそうでない被験者同士に対して行ない,その結果を発表されました.二つの実験の結果は本来違ってしかるべきものなのかそうでないのか,実験のデザインを変えれば結果はこう変わってくるのではないかなど,森田先生と聴衆による討議は尽きることがなく,簡単に設計された実験のセミナーほど聴衆の反響が多種多様であることを再確認したひとときでした.


2010年度・第1回研究会 平成22年7月9日  会場:経済経営研究所・調査室

論題脳科学的分散処理に基づいた生活者と企業の行動分析
報告者山川 義徳(NTTデータ経営研究所・シニアコンサルタント)

ヒトの脳神経研究,中でも脳の分散処理機構についての研究は近年著しい進展をとげてます.そこで今回は,山川先生に脳の分散処理を活用した一般消費者や企業の行動分析の有効性についてセミナーをお願いしました.そこでは脳科学によりサービス業と製造業の戦略を評価するとどうなるかが紹介され,経済理論のモデル分析とも金銭と商品の取引データによる実証分析とも異なり,ヒトの脳の反応による企業行動の評価は初めて聞くお話ばかりで,所属が文系である聴衆は一同熱心に先生の話に聞き入り,質疑応答も活発に行なわれました.


2009年度・第4回研究会 平成21年1月14日  会場:経済経営研究所・調査室

論題ホールドアップ問題:理論と実験
報告者伊藤 秀史(一橋大学大学院商学研究科・教授)

アメリカでPhD取得後日本で契約理論の研究だけでなく教育と普及にも貢献してこられた伊藤秀史先生が契約理論の実験のセミナーをされる!という話を聞きつけた方々が,遠くから近くから会場につめかけました.
伊藤先生は,実際にご自分でなさったホールドアップ問題の実験に関しては厳しい自己評価を下され,実験結果の公表は次の機会に延ばされました.その代わり,実験の設計にいたるまでのご自身のモーティベーション,実験の先行研究のサーベイ,そして理論分析の共同研究の結果を,質疑応答をはさみながら丁寧に解説されました.次回の伊藤先生の実験結果公表のセミナーが待ち遠しいです.


2009年度・第3回研究会 平成21年11月4日   会場:フロンティア館 マルチメディア演習室

論題眼球運動測定装置による意思決定における選好形成過程の研究
報告者竹村 和久(早稲田大学文学学術院・教授)

論題Eye-tracking Social Preferences
報告者船木 由喜彦(早稲田大学政治経済学術院・教授)

今回のセミナーで竹村先生は「人は何度かある商品を何らかの形で選ぶことで,その商品への好みに影響を受けるのか」,そして船木先生は「人は自分と他人の損得の違いをどのような基準で認識するのか」という経済学の授業ではまず論じられない問題を,アイカメラで人の眼の動きを追うことで検討され,その結果を紹介して下さいました.
普通の経済学でこの種の問題に深入りしないのは,簡単な設定で市場のいろいろな現象を説明したいためで,問題としての重要性は多くの経済学者は認識していたと思います.「こういうとき人はどう考えるか」という問題は最近は多人数へのアンケートにより分析されていますが,両先生は非常に少人数の人々を被験者にして考えるプロセスをアイカメラで追うという経済学では全く新しい方法を使われました.今後アイカメラを購入する大学が増えそうな予感がしました.


第13回実験社会科学カンファレンスを神戸大学で開催致しました

  日時 : 平成21年9月1日(火)
  会場 : 神戸大学 社会科学系アカデミア館

2009年度・第2回研究会 平成21年5月21日  ※中止になりました

研究会は神戸市での新型インフルエンザの発生を受け,報告予定であった外国からのゲストの先生および聴衆となりうる方々の大事を考えた結果,中止といたしました.よりによってなぜ神戸が,という気持ちになりました.先週1週間患者の発生は関西広域に見られましたが,今週から小中高,大学は平常授業となるなど,落ち着きが戻ってきました. 先週末は関西のみならず全国,そしてネット販売でもマスクの品切れが相次ぎましたが,地元の神戸では品切れにならなかった店がいくつかあったそうです.理由は「マスクはお一人様2個まで」等の制限が早めに出たからとか.危機管理の基本が出来ていることに感心しました.


2009年度・第1回研究会 平成21年4月23日  会場:経済経営研究所・調査室

論題ヒトの社会性にまつわる神経基盤とビジネス領域への適用の可能性
報告者山川 義徳(京都大学大学院情報学研究科・助教)

「AとBではどちらがよいですか?」経済実験にこのタイプの質問は不可避ですが,被験者の本心を聞き出すため研究者はいつも頭を悩ませています.しかし,被験者の脳の動きで回答が観察できれば,本心がわかります.今回のセミナーでは,色々な質問に対する被験者の本心が脳画像でわかる例をたくさん紹介して頂きました.でもこの実験はお金がかかる上規制もあるので,研究者が悩むことに変わりはなさそうです.


2008年度・第3回研究会 平成20年12月9日  会場:経済経営研究所・調査室

論題人間の非合理的行動の合世界性 −認知経済学的アプローチから
報告者橋本 文彦(大阪市立大学大学院経済学研究科・教授)


2008年度・第2回研究会 平成20年7月29日  会場:フロンティア館・マルチメディア演習室

論題マインド・リーディングの基盤としてのコストリー・シグナリング
-謝罪場面を用いた実験研究を中心として-
報告者大坪 庸介(神戸大学大学院人文学研究科・准教授)


2008年度・第1回研究会 平成20年5月21日  会場:フロンティア館・マルチメディア演習室

論題社会科学における合理性について:経済学と経営学を中心に
報告者橋本 介三(大阪府立産業開発研究所・所長)


 

2007年度・第3回研究会 平成20年3月26日  会場:経済経営研究所・調査室

論題組織学習と企業のリスク行動
報告者磯辺 剛彦(慶應義塾大学大学院経営管理研究科・教授)


第9回神戸フォーラム(会計学) 平成20年1月26日  会場:神戸商工会議所・神商ホールA

論題日本のもの造り組織指向の会計と国際会計
報告者Shyam Sunder(イェール大学・教授)他


2007年度・第2回研究会 平成19年12月4日  会場:社会科学系フロンティア館マルチメディア演習室

論題ビジネスゲーム入門:マネジメント教育への実践と活用の事例研究
報告者小笠原 宏(流通科学大学商学部・教授)
又賀 喜治(流通科学大学商学部・教授)

2007年度・第1回研究会 平成19年10月10日  会場:社会科学系フロンティア館マルチメディア演習室

論題Decision-making as history-dependent and future-orientated process: Past performance, aspiration, and strategic change
報告者磯辺 剛彦(慶應義塾大学大学院経営管理研究科・教授)