RIEBセミナー RIEB Seminar

日時 2014年3月6日(木)午後3時30分から
会場 神戸大学経済経営研究所 会議室(新館2階)
対象 教員、院生、学部生、および同等の知識をお持ちの方
使用言語 日本語
備考 論文のコピーは共同研究推進室にご用意いたします。

3:30pm~5:30pm

報告者 結城 武延
所属 秀明大学総合経営学部
論題 近代日本の株式会社-綿紡績業における経営者の自律と他律-
概要 企業勃興によって、近代日本が急速な経済成長を遂げたことは周知の事実である。企業勃興とは株式会社の誕生と発展を意味する。企業勃興期に株式会社制度を活用して飛躍的な成長を遂げた産業が綿紡績業である。本報告は、綿紡績業を事例として、株式会社制度が定着し普及していくメカニズムを解明する。本報告では次の側面に焦点をあてる。(1)商法、(2)資本市場、(3)会社機関、である。(1)当時の商法は、株式総会中心主義を採用していた。株主総会中心主義の下で、法が規定され、運用されることで株主の利益が国家によって保護されていたのである。(2)1878年に東京株式取引所と大阪株式取引所が設立されて以来、株式が頻繁に取引されるようになった。20世紀初頭の資本市場においては、企業の将来性に応じて経営戦略が評価され、株価が形成されるようになった。(3)当時の綿紡績業の代表的な企業であった大阪紡績会社を事例として、企業統治における会社機関―株主総会、取締役、監査役―の役割が検討される。株主総会が会社の最高意思決定機関として機能し続けたこと、資本構成に応じて取締役と監査役の役割が変容していったことが確認される。