RIEBセミナー(TJAR Workshop共催) RIEB Seminar (Jointly supported by: TJAR Workshop)

日時 2013年2月23日(土)午後1時00分から
会場 神戸大学経済経営研究所 会議室(新館2階)
対象 教員、院生、および同等の知識をお持ちの方
使用言語 日本語
備考 論文のコピーは共同研究推進室にご用意いたします。

1:00pm~2:30pm

報告者 荒田 映子
所属 武蔵大学経済学部
論題 財務会計研究における協力ゲーム理論の適用可能性

2:45pm~4:15pm

報告者 川本 淳
所属 学習院大学経済学部
論題 全部のれんの研究
概要 米国会計基準では2007年12月に、そしてIFRSでは2008年1月にいわゆる全部のれん方式が企業結合の会計基準に取り入れられることになった。わが国でも、この方法を採用すべきかどうか、基準設定のプロセスで議論されている最中である。
全部のれん方式のアイディアは、数十年前から知られていたが、これまでは会計基準に採用されることはなかった。それがどういう理屈で基準に取り入れることになったのか?会計基準の役割が投資家の意思決定を改善するのに貢献することだとして、全部のれん方式には採用するだけの価値があるのか?は興味深いテーマであると思われる。
しかし、すこし考えていくと、そもそも全部のれんとは何なのか?すら必ずしも明らかではない。まして、全部のれん方式の価値を実証するというところにたどり着くためには、多くの疑問に答えなければならないということが分かってきた。

4:30pm~6:00pm

報告者 松本 敏史
所属 同志社大学商学部
論題 会計の基本機能と公正価値会計
概要 20世紀末の会計ビッグバン以降、ASBJによって精力的に進められてきたコンバージェンスにより、日本の会計基準はかつての原価・実現主義会計から、FASBやIAS/IFRSと同様の混合会計に変容した。その最大の特徴は、原価・実現会計の中に公正価値会計の手法がランダムに組み入れられている点にある。
ところでIFRSがこれまで目指してきた会計モデルはB/Sの「純資産=企業価値」となるような全面公正価値会計とされており、そこでは取引の継続記録に代わって、資産・負債の公正価値評価が会計の基本手続きになる。
その場合に問題となるのが、これまで会計の重要な機能と考えられてきた処分可能利益の計算である。なぜなら全面公正価値会計の計算構造においては、これまで処分可能利益に含まれてこなかった評価益の計上が当然のこととして予定されているからである。
今回の報告では、なぜ全面公正価値会計が志向されるのか、(その可能性はゼロに近いが)仮に全面公正価値会計が実施されたならば、会計の基本機能である分配可能利益の計算はどうなるのか。これらの点について考察してみたい。