RIEBセミナー(TJAR Workshop共催) RIEB Seminar (Jointly supported by: TJAR Workshop)

日時 2012年12月22日(土)午後2時30分から
会場 神戸大学経済経営研究所 会議室(新館2階)
対象 教員、院生、および同等の知識をお持ちの方
使用言語 日本語
備考 論文のコピーは共同研究推進室にご用意いたします。

2:30pm~4:00pm

報告者 上野 学
所属 東北大学大学院経済学研究科 博士後期課程
論題 異常リスク解消行動と監査報酬の関係
概要 本稿の目的は監査人の異常リスク解消行動と監査報酬の関係性を観察することにある。日本公認会計士協会の標準監査報酬規定が2004年4月に廃止され、監査法人間の競争はより激しくなった。欧米では監査事務所が監査リスクのうち監査人が負うリスク部分を保険料として被監査企業に要求する行為をリスク調整活動(risk adjustment)として、この保険料を監査報酬に付加する証拠が先行諸研究で示されている。本稿は監査済み財務諸表を用いた投資活動に伴うリスクを、合理的リスクを負担して正常リターンを得られる正常リスクと、合理的リスクを負担しても正常リターンを得られない異常リスクに分け、異常リスクを正常リスクへ転嫁させる活動の監査報酬への影響を観察した。内部統制報告制度施行以後、2010年3月期と2011年3月期の全上場会社のサンプル(監査報酬については当該決算に対する監査報酬)を分析し、異常リスク解消行動が監査報酬へ反映されていることを示す結果が得られた。

4:15pm~5:45pm

報告者 山口 貴史
所属 大阪大学大学院経済学研究科 博士後期課程
論題 「経営者の自発的開示と企業価値
概要 本研究は、3つの観点から2種類の情報を保有する経営者の情報開示戦略について理論的に分析したものである。(1) 経営者が資産価値に関する複数の情報を保有している。(2) 資金や時間を用いて情報を獲得して自身の投資意思決定に利用する投資家が存在する。(3) 経営者が企業価値を最大化するために投資活動を行う。本稿の結果は、経営者が自発的開示を積極的に行うという近年の状況を説明するものである。その一方で、経営者が非開示を選択する可能性があることも併せて明らかにする。このような状況は、経営者が開示を選択できる情報の質が低く、かつ非開示情報との相関が高い場合に起こりうる。自発的開示の対象となる情報の特性を考慮すると、経営者が自発的開示を行う場合、開示する情報は開示されていない情報とは独立し、かつ企業の資産価値について質の高い情報であることが望ましいといえる。