タイトル

生活者の直面する金融上の問題と金融リテラシー-2016年・金融リテラシーと金融トラブル等に関する調査の概要報告-

要旨

本稿は、我々が、2016年9月に実施した「金融リテラシーと金融トラブルや借り入れ行動についての調査」の結果の概要を紹介することを目的にしている。本調査は、20~30歳代、40~50歳代、60歳以上のそれぞれ900人ずつについて、金融トラブルの経験のある人600人と経験のない人300人を対象に実施した。金融トラブルの経験の有無が、各質問の回答とどのような関係にあるのかを、年齢や性別による分析結果も適宜加えながら説明している。本稿のように幅広い金融トラブルと金融リテラシーの関係を分析した先行研究は乏しく、貴重な情報を提供しているものと考えられる。今回の調査結果で特に注目されるのは、予想に反して、金融トラブルの経験者は、金融リテラシーが低いとは限らないという点であった。逆にいえば、金融トラブルを今まで経験していない人は、金融リテラシーが高くて回避できているわけではなく、金融トラブルが増える潜在的な危険性をわが国が抱えていることを示唆している。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

名古屋学院大学経済学部
上山 仁恵