タイトル

創業支援のための信用保証制度の利用の現状と課題-愛知県信用保証協会アンケート調査結果の報告-

要旨

我々は、愛知県信用保証協会と連携して、愛知県信用保証協会の保証を利用している創業期の企業3,988社(創業関連保証などの創業企業向けの保証利用者に加えて、一般企業向けの保証<本文では非創業保証と呼んだ>を利用した創業期の企業を含んでいる)に対してアンケート調査を2017年9月に実施し、967社からの回答を得た。本稿では、このアンケート調査の結果を報告することで、創業時期に信用保証を利用した企業の特徴、保証を利用した効果、現在の保証利用者の不満、創業を増やすため、あるいは創業企業の成長を支援するために信用保証面からどのようなことをすればよいのか、などについて検討した。
その結果、例えば次のようなことが明らかになった。保証利用企業が雇用を大きく増やしていることが確認できた。創業前や創業時の最大の心配事は「資金繰り、資金調達」であり、創業を決意する段階では資金繰り上の安心感を与えられるような支援が非常に重要である。創業前の経営者になるための準備の内容をみると、ほとんどの創業者が様々な創業準備をしている。しかし、しっかりした創業計画を作っているのは3分の1ほどであった。事前の相談先に信用保証協会をあげたのは16%にとどまっていたが、その相談が有益だったとの回答は非常に多かった。信用保証を初めて利用した理由としては、金融機関からの勧めや融資実行の条件が多く、信用保証の利用の促進には、金融機関との連携の強化が不可欠である。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

神戸大学経済経営研究所
尾島 雅夫