タイトル

介護保険料価格改定が収納率に与える影響

要旨

本研究の目的は、2006-2013年度保険者別パネルデータを用い、介護保険料が保険料収納率に与える影響を推定し、それらの特徴・要因を把握する事である。保険料収納率を現年度分、累積分、延滞分に分類して詳細な分析を行った。現年度分とは、当該年度分の保険料の調停額・収納額である。累積分とは、1年前、2年前の未納催促分が加味された調停額・収納額である。延滞分とは、1年前、2年前の未納催促分の調停額・収納額である。介護保険料は現年度収納率に負の影響を与えていた。これは介護保険料増加に伴い、収納率が減少することを意味する。1年後、2年後とラグを経ても負の影響を与えていた。また介護保険料は、保険料改定から2年後の延滞分収納率、累積分収納率に負の影響を与えていた。今後、高齢者人口増加に伴い介護保険料は増加することが予測されている。本研究の推定結果から、今後収納率は減少する可能性が考えられ、高齢者人口増加に伴う介護保険料の増加は、社会保険制度としての介護保険制度の持続可能性に影響を与えることが示唆された。

連絡先

〒135-8181
東京都江東区有明3-3-3
武蔵野大学経済学部経済学科 講師
(神戸大学経済経営研究所ジュニアリサーチフェロー)
松岡 佑和

東洋大学経済学部
中澤 克佳