タイトル

戦前期兼松における社内統治 ~「規則」と「社風」の効用~

要旨

本稿は貿易商社兼松を題材に戦前期企業における社内統治、社内統制のシステムを分析した。兼松では従業員の統制を目的に、創業期には膨大な規則制定、第一次世界大戦期には社風の醸成という2つの運動が実施されている。しかし前者は風紀を確立できなかっただけでなく、投機取引を防止できずに多大な損失を招くなど失敗に終わった一方で、後者は創業者の兼松房治郎の思想を中核に、その後継者の重役たちは不服従の従業員は解雇する強硬な方針で社風の醸成を推進した結果、社内の秩序は確立されて従業員の組織コミットメントは高まっており、社風の醸成運動は成功したと評価される。

連絡先

〒657-8501
神戸市灘区六甲台町2-1
神戸大学経済経営研究所
藤村 聡
TEL: 078-803-7036 FAX: 078-803-7059