科学研究費補助金による研究(平成16・17年度) List of Grants-in-Aid for Scientific Research (2004 - 2005)

基盤研究(A)

研究課題 生活の質を持続的に向上させる政策評価方法の研究:理論と実証(平成16~18年度)
研究組織 下村 研一(研究代表者)、橋本 介三、白旗 慎吾、山地 秀俊、福重 元嗣、坂本 亘、坂田 裕輔、永松 伸吾
研究目的 1992年リオの「環境と開発に関する国連会議」において「持続的成長」時代の到来が宣言され十年以上経過した。この間政策領域では環境に対する意識が着実に向上し、政策手段も多様化し、政策形成に参加する主体や範囲も拡大してきた。その反面、生活の質の安定的な向上のための政策設計、執行、評価のプロセスは錯綜し、更に複雑化する様相を見せている。この状況下で市民と政府は、環境保護と両立可能な交通整備・都市再生・地方活性化のために、何の政策をどのようにすべきか。その中でわれわれはどのような厚生理念を求めていけばよいか。この問いに答えるため、本研究では経済学の理論的方法と実証的方法(統計分析と実験を含む)に基づき、立案、執行、評価の過程まで含めた政策のあり方を再検討する。本研究の学術的特色は生活の質の向上を政策目標とした新たな経済学の基礎の開拓と、体系的な政策設計、執行および評価の方法の確立を目指すことである。

基盤研究(C)

研究課題 離散選択問題が引き起こす景気変動に関する研究(平成15~18年度)
研究組織 上東 貴志
研究目的 本研究の目的は、離散選択問題と景気変動の関係を明らかにすることである。離散選択問題とは、(通常)有限個の選択肢の中から最適なものを選択する問題のことである。 例えば、車を買い換えるべきか、新しいパソコンを買うべきか等は離散選択問題である。離散選択問題の研究が現実経済を理解する上で重要であるのは、現実経済における財の多くが不可分であり、不可分財の売買を扱った問題はすべて離散選択問題であるからである。ところが、既存のマクロ経済理論の大部分は、財が無限に可分であるという仮定の上に成り立っている。標準的なマクロ経済理論によると、不況下のような恒常所得の少ない時には、消費もほぼ比例的に少なくなる。しかし、現実経済では財の多くが不可分であるので、この理論は必ずしも当てはまらない。特に、景気指標としても使われる耐久消費財の新規購入に関しては、不況下のような恒常所得の少ない時には「購入量を減らす」と言うよりも「購入自体を見合わせる」と言った方が消費者の現実的な行動様式をより的確に表していると思われる。したがって、不可分財の存在、しいては離散選択問題の存在は、不況を長引かせる、あるいは経済を不安定にする要因の1つであると考えられる。このように、離散選択問題と経済行動の複雑性の間には重要な関係があると考えられるのだが、この関係に焦点を置いた研究は当研究者の最近の研究を除けばほとんど皆無である。本研究の目的は、未開発領域である離散選択問題と景気変動の関係を明らかにすることである。
研究課題 日本の自由貿易協定に関する理論的・戦略的研究(平成15~17年度)
研究組織 井川 一宏
研究目的 我々は、日本が計画しているFTAに関して、その実現可能性と問題点および戦略的な意義について、最近の国際経済理論を踏まえて分析を行う(不完全競争理論と空間経済学の理論と最適通貨圏の理論に基づく分析と、ゲーム論的な戦略均衡の分析をもとに、FTAを検討する)。本研究の特色は、包括的整理よりもむしろ日本のFTA戦略的な意義を明らかにすることにある。世界各国はそれぞれの国益を考えた戦略をとり、それがお互いに影響しあって特定の経済状況となった現実が動いている。 FTAはまさにその戦略の結果(戦略の交差する場)であり、日本のFTA戦略の経済的な意義を検討することは、現実的にFTAを理解するために不可欠である。日本にとって、特に日韓FTAは地域経済化とグローバル経済化の両方を考慮した場合の最優先戦略である。この点を明らかにしながら、東アジア(ASEAN、中国、日韓)FTAの形成に向けた戦略が、NAFTAやEUを考慮したグローバル戦略においても重要な意義を持つことを明らかにしたい。
研究課題 貿易政策の動学的研究:保護貿易政策の形成と展開の研究(平成15~17年度)
研究組織 片山 誠一(研究代表者)、太田 博史、冨浦 英一
研究目的 生産構造の補完性を考慮して保護関税政策を決定して行くように考える。1980年代に有効保護論として実行保護関税率の議論がなされたが、理論的にはこの有効保護論の動学的分析といえよう。このようなモデルを構築しないと、近年の国際通商問題の進展、特に、相互にセーフガードの発動を差し控えてきた行動は理解できないと考える。当該研究の独自性は、有効保護論の拡張ともいえる生産構造の補完性を考慮して、相互の保護政策の展開過程を最適関税政策を動学的に展開するものであり、まだ従来の文献にないユニークなものであるといえる。理論的展開と同時に貿易政策の歴史を実証的に把握し、その理論の裏付けを行いたい。
研究課題 多様な規制制度から来る証券市場における会計情報の偏在と価格形成に関する実験的研究(平成15~16年度)
研究組織 山地 秀俊
研究目的 経営、経済の問題解決に向けたアプローチ方法の一つに、実験室の中で直接に人間行動を管理しながら得られたデータを使用して仮説検証を行う手法がある。このアプローチは被験者行動を厳密に管理するために専用の実験室を必要とする。具体的には、実験心理学の分野で行われる実験のように、個体が他の個体から受ける影響を限定するために被験者ごとに個別のブースが用意された環境で実験が行われなければならない。こうした実験環境を利用しながら、会計における主要問題である、株主がコーポレートガバナンスにおいて果たす機能や、監査人が果たすべき社会的機能あるいは、株式市場での価格成立システムの特徴の分析、情報の信頼性と資本コストの関係等の実験的研究を行う。特に、上でも触れたように、会計に絡まる多くの諸制度の規制によって、ある証券に関してその価値を表象する多様な情報が、証券市場に流布しているが、そうした複数の情報が存在する場合に、証券市場はあるべき価格を形成できるのか否かについて実験的技法を用いることによって検討したいと考えた。
研究課題 日本製造業の製品開発競争力を高める企業間ネットワーク構造とプロセスの研究(平成16~19年度)
研究組織 延岡 健太郎
研究目的 企業の競争力を決定する要因として、部品取引関係などの企業間ネットワークの重要性が高まっている。電子・情報機器、家電、通信機器などでは、部品・デバイス企業と組み立て企業が複雑なネットワークを構成しているが、その戦略とマネジメントのあり方によって、企業の価値創造能力や企業競争力の多くの部品が決定されているといっても過言ではない。この点を背景として、本研究の目的は産業別に規定される最適な企業間ネットワークの構造とプロセス、マネジメントの理論を構築し、それを実証的に研究することである。更には、企業が最適と考えられる企業間ネットワークを実際に構築し、それをマネジメントするための、ベストプラクティスを産学連携研究活動を通して導き出し、政策及び産業・企業へ提言する。
研究課題 環太平洋地域における通貨統合・金融協力の展望と日本の役割(平成16~18年度)
研究組織 後藤 純一
研究目的 本研究の目的は、環太平洋地域における金融統合・通貨統合の妥当性の有無を検証することである。つまり、環太平洋諸国(あるいはその部分集合)が、金融統合・通貨統合を進めていくグルーピングとして適切なものであるかどうかを客観的に考察しようとするものである。マンデルによって開発された最適通貨圏の理論によればいくつかの基準が提供されているが、本研究ではマクロ経済指標の同期性に注目し、主成分分析と呼ばれる手法によってデータを分析し、環太平洋諸国(主として東アジア諸国とアメリカ・オーストラリア)が通貨統合の経済的前提条件を満たすものであるか否かを検討する。また、CGEモデルのシュミレーションにより個別国に対するインパクトを検証するとともに、通貨統合・金融協力を進めていく上で日本はいかなる役割を果たすべきであるかということに重点を当てた分析を行う。
研究課題 為替レート政策のマクロ経済効果に関する比較実証研究(平成16~18年度)
研究組織 宮尾 龍蔵
研究目的 為替レート政策のマクロ経済効果を正確に把握することは、持続的な景気回復を模索するわが国のマクロ政策議論にとって欠かすことの出来ない視点である。本研究は、わが国の為替レート政策のマクロ経済効果について、国際的な視点からの包括的な実証分析を行う。ここでは、為替介入が為替レート変動に及ぼす効果、そして為替レート変動が国内および海外経済へ及ぼす影響について、最近の計量分析の主流である時系列分析に基づき明らかにする。その際、最近の国際マクロ経済学の理論的進展(いわゆる「新しいマクロ経済学(New Open Macroeconomics)」など)の成果も実証フレームワークに取り込み、また現地生産の進展や国際分業など経済のグローバル化の影響を考慮来ることも試みる。
研究課題 融資時の企業判断にかかわる意思決定プロセスの実験的研究(平成16~18年度)
研究組織 梶原 晃(研究代表者)、砂川 伸幸、関口 倫紀
研究目的 融資にかかわる意思決定をする金融機関の社員が実際に行っている企業判断の意思決定プロセスを解明するために、本研究では、ポリシーキャプチャリングと呼ばれる実験的手法によって、より正確な形で金融機関の社員が用いる判断基準を吟味する。ポリシーキャプチャリングとは、意思決定に用いられる判断基準を本人に直接聞くのではなく、複数のシナリオを提示して実際にいくつかの判断を下してもらい、その判断結果から、用いられた判断基準を間接的に推定する心理学的実験的手法である。このような実験的手法は、組織行動学や社会心理学における意思決定研究では活用されているが、ファイナンスや会計の分野における研究ではまだ普及していない。本研究によって、ファイナンスや会計学が理論的な視点から導いた規範的な企業評価のあり方と、行動学的・心理学的なアプローチによって吟味される、金融機関の社員が行なっている実際の判断との乖離の存在とその要因を理解し、金融における融資その他の判断業務の改善を図るうえでのヒントとなることが期待される。すなわち本研究は、学際的な見地から新しい研究分野の地平を切り開いていこうとする学問的な貢献に加え、金融機関実務というわが国でも特に改善が求められる業務に対する新しい含意の提供という実務的貢献が期待されるものである。
研究課題 エレクトロニクス産業の競争力創生のためのグローバル製品開発体制に関する研究(平成16~18年度)
研究組織 伊藤 宗彦
研究目的 日本企業は、製品開発・生産の効率性を追求し、それを競争力の源泉としてきた。
このような日本企業が強みとしてきた製品開発の効率性の仕組みは学術レベルで、かなり解明されてきた、それは、企業内で保有される資源の優位性、また、系列などに代表される独特の企業間ネットワークの仕組みであった。近年の製品開発に関する研究成果は、製品開発能力、つまり製品の持続的競争力を発揮するためには、製品開発の効率性だけでなく、イノベーションを効率よく起こす仕組みが必要であるという結論を得ている。しかしながら、日本企業は、長年、自社内に製品開発に必要な資源を抱えており(垂直統合構造)、製品開発効率は高いがイノベーションは起こりにくい構造であることが言われてきた。一方、米国では、製品開発・生産の分業(水平分業構造)がイノベーションを促進するという研究成果が出ている。本研究では、パソコン、携帯電話など、巨大化した世界市場の中で、日本企業が競争力を低下させた理由として考えられてきた製品開発の仕組み、特に効率性に関するものではなく、イノベーション能力を維持・向上させていく用件を明らかにする研究である。このような研究課題を解くために、今後、ますます重要性が増大するであろうソフトウェア開発を詳細に研究する。
研究課題 東アジア諸国の自由貿易協定戦略の一般均衡論的評価(平成16~17年度)
研究組織 利 博友
研究目的 世界各地域で締結されている自由貿易協定(FTA)は、近年急速にその数を伸ばしている。FTAは地球規模の自由貿易を促すのか、或いは妨げるのかという問題を巡っては熱い論争が繰り広げられているが、WTOを中心とする多国間の貿易自由化交渉があまり進展していないのも事実である。本研究では、動学的な計算可能一般均衡(CGE)モデルを使用し、以下の3点を明らかにする。
(1)日本・中国・韓国・ASEAN諸国において、どのコンビネーションのFTAがすべての加盟国に恩恵をもたらすのか。
(2)FTAのsequence(例えば、中国・ASEAN FTAと日本・ASEAN FTAの順序)が、加盟国の経済厚生にどのように影響を及ぼすのか。
(3)世界貿易自由化が2020年までに達成されると予想した場合、東アジア諸国にとって、例えば日韓、中 ASEAN、日 ASEAN、ASEAN+3等のFTAを締結した後で多国間の完全貿易自由化に到達した方がより有益なのか、 或いはFTAに加盟せず、一方的な自由化を促進しながら世界貿易自由化に到達した方が多くの恩恵を受けることができるのか。
本研究の成果は、今後の東アジア諸国のFTA戦略に重要な政策的インプリケーションを持つことが期待される。
研究課題 ブラジルの経済自由化に関する企業・産業データを用いた実証研究(平成17~19年度)
研究組織 西島 章次(研究代表者)、浜口 伸明
研究目的 本研究は、ミクロデータを用いた計量分析を実施し、代表的なエマージング・マーケットであるブラジルにおいて、経済自由化がどのような企業行動の変化をもたらしたかを明らかとすることによって、こうした企業行動の変化がいかなる経済的、社会的インプリケーションを有するかを検討する。とくに、自動車産業(部品産業を含む)、機械工業、製鉄業、金融セクターなどにおいては、企業所有形態、雇用構造、市場競争、コーポレート・ガバナンスなどに顕著な変化が生じているが、企業データ・産業データを用いた計量分析にこうした変化を明らかとする。これまで経済自由化の影響は、マクロ的観点から多くの研究がなされてきたが、近年、ブラジルでは企業データと産業データの構築が進み、ミクロ的なデータを用いて、自由化による企業行動への変化、市場構造・市場成果などの変化を、より詳細に明らかとすることが可能となっている。こうしたミクロ的データを用いた企業行動の実証分析は、経済自由化が持続的成長と社会的公正をもたらすかどうかの議論に、企業行動の観点から重要な示唆を与えることができる。
研究課題 取引制度の比較分析(平成17~19年)
研究組織 小島 健司(研究代表者)、末廣 英生
研究目的 比較取引制度分析は、特定環境のもとでの経済主体の取引行為より作り出される取引制度を分析対象とし、その存在と生成の識別にもとづいて、取引制度理論を構築することが研究目的である。分析対象は、特定取引環境のもとでの経済主体の取引行為・取引媒介・取引関係・取引制度である。取引環境とは経済主体の所有権や取引行為・取引関係・取引慣行・取引制度に有意な影響を及ぼす外生要因である。
制度の生成はその存続のための経済的理由に加えて、生成過程にも有意に依存する。分析の第1課題は取引制度の生成過程を識別し、その理論的根拠を与えることである。まず、取引制度には歴史的経路依存性があるかどうかを識別することである。歴史経路依存性とは制度の生成はその過程に依存することを指している。過去の制度が現在の制度生成機会を作り出すようにして、生成の経路が不可逆的に現在の制度の性質に影響を与えると考えられる。そのような歴史経路依存性が識別できるのかが、分析の焦点となる。このような問題設定をもとに、特定産業を事例対象に取り上げ、歴史資料に基づいて分析し、取引慣行生成を産業構造との関連で明らかにする、さらにそれらの生成の経済的根拠を説明する。
研究課題 六大企業集団の変容・変質過程に関する研究-企業変遷データに基づく検証-(平成17~18年度)
研究組織 関口 秀子
研究目的 六大企業集団は、現在では影響力が低下し、従来の集団の枠組みが変容し変質しつつある。企業変遷データを解析する事によって、集団の変容・変質過程及び解体の実態について検証することを目的とする。ここに企業変遷データとは、当該企業の設立から生産・消滅に至るまでの、改組・解消、合併、買収等の企業変遷要因・自由とその変遷年月日を含めたものをいうが、それは当該企業が存続と成長のために選択した企業行動の結果である。企業変遷データによって、集団の変容・変質過程、解体の実態が検証されることは同時に、データの有効性が認証されたことになり、データの利用可能性が生じたことにもなる。

萌芽研究

研究課題 グローバル化時代における国際的労働基準の影響(平成17~19年度)
研究組織 趙 来勲(研究代表者)、胡 云芳
研究目的 労働基準(labor standards)という概念は、労働者の人権例えば言論や組織の自由、人種、年齢と男女の差別、児童労働等のみならず、労働の環境とも関係がある、例えば、職場の汚染、換気度、照明、残業の多さ、機械の安全性、年金、保険、最低賃金等である。労働基準を改善するため高い費用を必要とするので、発展途上国は通常先進国より低い労働基準を実施する。その結果、発展途上国の企業が費用面で有利になり、先進国の企業も発展途上国に移転するので、先進国の失業率が上がる、という議論がしばしば行なわれている。従って、WTO(世界貿易機関)の貿易や投資交渉にも労働基準を含めようという要求があがりつつある。本研究では、グローバル化の下で、労働基準が国際貿易、資本移動、移民、著作権や技術移転などへの影響を究明する。具体的には、I). 発展途上国で先進国より低い労働基準を実施する理由; II). 全ての国が守らなければならないような世界的労働基準が存在する可能性; III). 労働基準を考慮の上、関税や生産補助金または労働基準補助金の利潤及び福祉への影響; IV). 資本移動と労働者移動を含めて、2財一般均衡モデルで労働基準と産業空洞化、賃金、雇用との関係を明らかにすること。

若手研究(B)

研究課題 PC企業の製品開発におけるモジュラーバリューの獲得戦略とマネジメント(平成17年度)
研究組織 上野 正樹
研究目的 研究目的は、自社単独では全ての部品・製品を開発できない競争環境において、技術を結集する戦略とマネジメントを明らかにすることである。具体的には国際競争が熾烈になってきたモバイルコンピュータ分野を対象とする。研究対象とするPC企業は「日本・台湾・米国企業」である。そして「製品開発と部品調達のプロセス」に着目してモジュールの連結プロセスを調査し、「製品開発成果(コスト・スピード・品質)」および「企業成果(売上げ高・市場占有率)」への影響を明らかにする。理論的には、モジュラー型システムが生み出す価値をPC企業がいかに獲得しているのかを解明することである。最近では、情報家電分野にも、モジュラー型の特徴がみられることがわかってきた。また自社単独で全ての技術を開発するコストが高まると同時に、利益を確保することが難しくなってきたことがある。このため、社外開発資源を活用するモジュラー型の開発システムやモジュール調達の重要性が高まっている。このような背景で、モジュラー型の製品開発とモジュール部品調達について詳細研究を実施したいと考えている。

研究成果公開促進費

研究課題 企業情報データベース
研究組織 山地 秀俊(研究代表者)、梶原 晃、関口 秀子、國本 光正、平末 伸一、田村 真由美
研究目的 神戸大学経済経営研究所が長年収集・保存に努めてきた企業資料をデータベースとして加工したもの。平成14年度から科学研究費補助金をうけて、本データベースの基礎となる企業資料のデータベースを作成してきた。このデータベースには、各企業が発行する紙媒体資料、すなわち「会社案内」・「広報誌」・「株主向け資料」・「営業報告書」・「各種カタログ」・「社内報」等多岐にわたる資料が収録されている。これらの資料は過去において企業が社会へ広く発信してきた、また、現在以降もさらに継続して発信を続けている多様なメッセージを含んでおり、ユニークなアーカイヴとして評価が高い。各収録資料は個別に見るとワンショットデータであり、また、時系列的に整理することにより資料群として継続的な性格を持つ。このデータベースはこれらの資料を個別的に、あるいは、グループとして効率的に分析ができるように画像情報と文字情報の両方を持ち、企業史・産業史研究はもとより、経営学・商学の分野や社会学・図商学といった関連する隣接研究領域からもその発展が求められるデータベースである。