タイトル

日本企業による利益平準化

要旨

本稿の目的は、日本企業を対象にした利益平準化の先行研究を整理することで、日本企業がなぜ利益平準化を行うのかについて歴史的な経緯を検討することである。日本企業を対象にした実証研究では負債・株式市場・配当といった要因によって日本企業が利益平準化を行うことが示されている。一方、戦後の先行研究における議論を検討すると、年二回決算や経済発展の状況といった日本独自の要因によっても利益平準化が行われていたことが示唆される。しかしながら、これらの要因については現在の日本企業にはあてはまらず、時代の変化に応じて利益平準化の動機が変わっている可能性があり、これまで行われてきた実証研究は現在の状況を反映している。本稿では、利益平準化の程度に影響を与える要因(社会的目標やコーポレート・ガバナンス、会計基準など)の変化に着目した研究の必要性について指摘している。

キーワード

利益平準化、日本企業、歴史的経緯

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東北学院大学経営学部
古賀 裕也