タイトル

広く使えるベイズ情報量規準(WBIC)の応用について:線形回帰モデルを例に

要旨

本稿は事前分布についての情報が無い場合におけるモデル選択について検討した研究ノートである。ベイズ統計学の文献で多く使われているモデル選択基準は周辺尤度である。ただし尤度関数が真のデータ生成過程と整合的であったとしても、事前分布を任意で設定し、それがかなり強い(informative な) 事前分布であるか、あるいはかなり弱い(noninformative な) 事前分布である場合、その尤度関数を含むモデルは周辺尤度によって支持されないことがある。一方、広く使えるベイズ情報量規準(WBIC) では十分に弱い事前分布を用いれば"かろうじて無情報" な事前分布の下での周辺尤度の推定が自動的におこなわれるため、事前分布の情報が無い場合でも適切にモデル選択をおこなえる可能性がある。

キーワード

ベイズ情報量規準、周辺尤度、無情報事前分布、WBIC

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