タイトル

政府系金融機関と民間金融機関の連携による企業支援-連携商品と再生支援の現状-

要旨

金融庁の『平成28事務年度 金融行政方針』で、地域金融機関に対して「事業者の自主的な経営改善を通じた地域経済の活性化の実現を図るため」「政府系金融機関及び各種支援機関との連携・協力の強化」を促す方針がうたわれているように、民間金融機関と政府系金融機関の連携の強化は重要な政策的課題になっている。しかしながら、連携の強化の効果について個別事例は報道されているものの、まとまって検証している研究は乏しい。 そこで、本稿では、まず、日本公庫との連携の現状や課題を、日本公庫および民間金融機関の開示資料や個別ヒアリングに基づいて整理する。次に、企業にとっての民間金融機関と日本公庫の連携の意味づけを考えるために、本稿では、「金融円滑化法終了後における金融実態調査(2014年10月RIETI実施)」を利用する。同アンケートからは、主取引金融機関と準主取引金融機関がわかるので、どのような企業がどのような金融機関の組み合わせを選んでいるのかを、政府系金融機関が入っているのか否かという観点を中心にして調べることにする。また、同アンケートは、貸付条件の変更を申請した多くの企業がサンプルに含まれているので、再生支援における政府系金融機関の取組状況についても検討する。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp