タイトル

コンピュータの発展と社会 -計算機の誕生と興隆-

要旨

太古の昔より、人類と計算は切っても切れない関係があった。人類は天体を観測し、計算し、暦を作った。情報処理の誕生である。建築の世界でも、測量や構造計算は欠かせない。そして1888年頃、アメリカのハーマン・ホレリスが、パンチカードと、リレーを組み合わせた統計計算機、タビュレータを発明する。ホレリスは会社を興し、カードに穴を穿つ鑽孔機の改良や、情報内容に応じて回路の組み替えが行えるようタビュレータの改良を続けた。ホレリスが興した会社は、後に世界を代表する企業、インターナショナル・ビジネス・マシーン社、IBM である。このパンチカードシステムの経営的活用を日本で初めて推進したのが神戸大学、平井泰太郎教授であった。昭和16 年、当時のIBM日本法人から、無償貸与の形で、神戸大学にパンチカードシステムを導入した。日本の大学でIBM 製品が導入されたのは初めてであった。パンチカードシステムからコンピュータへというハードウエアの変遷によっても変わることはなく、むしろ、コンピュータの進化と共により重要性を増している。計算機の発展は社会と密着し、新たなサービスを生み出すエンジンとして機能してきた。本稿では、計算機の普及に大きく貢献したIBM 社の歴史と日本の大学では初めてIBMの計算機を導入し、経営機械化という研究分野から、現在に通じる経営学という学問分野を切り開いた神戸大学の関係を振り返り、社会におけるコンピュータの役割の重要さを考える。

キーワード

経営機械化、 パンチカード、 IBM、 経営学

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