タイトル

タビオ社のサービス・イノベーション

要旨

 タビオ社のイノベーションとは、かつての靴下業界に見られた川上から川下にいたる複雑な商慣行を合理化し、「多品種・少量・短サイクル化」を可能とするような靴下生産販売体制を構築したことである。80年代半ば以降、わが国の靴下業界は安価な輸入品の勢いに押され苦戦を強いられていたが、タビオ社は、靴下という商品の付加価値の創造(機能性、デザイン性)を重視し、さらに消費者が求める商品を必要な量だけつくるというシステムを構築したことで、現在も順調に業績を伸ばしている。このイノベーションの具体的内容は、①機敏な製品企画、②多様な商品のラインナップ、③川上から川下への細かな連携、である。タビオ社のイノベーションの成功は、安価な輸入品によって苦戦を強いられている地場産業が生き残る上でのヒントを提供する。同社の事例のように、「ものづくり」の情熱とプライドをもつ人々が、小売、卸、生産の枠を超えて結びつき、それぞれが持つ技術を活かせるしくみづくりのプロセスは、他の分野でも参考になるはずである。

キーワード

POSデータ、デジタル・ピッキング、サプライ・チェーン、フランチャイズ、自動発注システム

連絡先

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井上 真由美


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