毎年恒例の標記フォーラムが2月28日に神戸商工会議所において、神戸商工会議所・神戸大学経済経営研究所(以下、研究所)の共催で実施されました。 今回は「2008年世界経済の潮流と日本経済の行方」をテーマとし、25名程度の方が参加されました。
最初に研究所の日野博之教授が「グローバル経済の展望」と題して講演し、アメリカを発端とする金融問題の影響や新興国・産油国の存在感の高まりを中心に解説し、全体として景気の下振れリスクが高まっているものの、長期的には世界経済は安定的に推移するだろうという見通しを示しました。
次に、経済学研究科の地主敏樹教授が「アメリカ:サブプライム問題と大統領選挙」と題して講演し、サブプライム問題をもたらしたアメリカの金融市場の複雑な証券化の仕組みをわかりやすく説明し、これまでのところアメリカの金融当局は金融機関の毀損に迅速に対処してきているものの、不動産市場の回復は遅れ、景気後退のリスクは払拭されていない現状を解説しました。
最後に、研究所の宮尾龍蔵教授が「2008年日本経済の行方」と題して講演し、企業業績の改善傾向が続く中でも株価の低迷や賃金の伸び悩みによって景気回復が実感されない状況であるが、優秀な技術にふさわしく世界に評価される日本となるには、政府の改革のリーダーシップが求められており、ますます存在感を増す産油国やアジアの政府系ファンドにも積極的に目を向ける必要があると語りました。
参加者からはフォーラムのテーマは非常に時宜を得たもので、また大変充実した内容であった、と好評を頂き、講演のあとの交流会では、予定の1時間を超過して活発に意見交換が行われました。
|