兼松セミナー(現代会計学研究会共催)
Kanematsu Seminar (Jointly supported by Contemporary Accounting Research Society)
| 日時: (Date&Time) | 2010年6月11日(金)午後3時30分から (Friday, June 11, 2010, 3:30pm〜) | 
| 報告者: (Speaker) | 福井 義高(Yoshitaka FUKUI) | 
| 所属: (Affiliation) | 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 (Graduate School of International Management, Aoyama Gakuin University) | 
| 論題: (Topic) | 会計研究の基礎概念 A Methodological Critique of Accounting Research | 
| 概要: (Abstract) | 実証研究の「科学性」を教科書的方法論で超越的に批判することも、逆に規範 論を非(前)科学的として切り捨てることも、それほど根拠があるわけではない。 日本でも隆盛の一途をたどる実証会計研究に没理論的傾向があることは否定で きない。しかし、それは必ずしも無意味な作業ではないし、何か後ろめたいこと として、言い訳がましくなる必要もない。そもそも、物理学のように変数のみな らずその係数値まで特定された明快な理論がない以上、よりよい理論モデル構築 のためにも、実験データと違い制御不能な観察データから、説明されるべき確固 とした事実を抽出することが実証研究の重要な課題であり続けよう。ただし、今 後の会計実証研究には、株価をはじめとする証券市場データと会計数値との相関 を見つけ出す段階にとどまるのではなく、発見された統計的パターンを理論的に 取り込んだ資産評価モデルの構築を行うことが求められている。 従来、会計研究の一部には、学問的議論に名を借りた信仰告白が蔓延していた ことは事実であり、こうした会計研究の神学化へのアンチ・テーゼとして、実証 分析が会計研究の健全化に果たした役割は大きい。一方で、会計の対象が「ある べき」論なしには存在し得ない制度的事実であるゆえ、単純な存在当為二元論に よって会計から規範論を排除することも不可能である。 研究を進めるにあたって、確固としたルーチンあるいはアルゴリズムがあるわ けではない。これは科学的、あれは非科学的という議論をするより、「なんでも あり」の精神でやりたいことをやるのが学問のあるべき姿であろう。しかし、他 者のみならず自分の研究に対しても、アダム・スミスのいう「私心なき第三 者」(impartial spectator)の視点から批判的であることを忘れずに。 | 
| 会場: (Place) | 神戸大学経済経営研究所 会議室(研究所新館2階) RIEB Meeting Room (New Building 2nd floor) | 
| 対象: (Intended Audience) | 教員、院生および同等の知識をお持ちの方 Faculty, Graduate Students and People with Equivalent Knowledge | 
| 使用言語: (Language) | 日本語 Japanese | 
| 備考: (Note) | 論文のコピーは共同研究推進室にご用意いたします。 |