兼松セミナー(現代会計学研究会共催)
Kanematsu Seminar (Jointly supported by Contemporary Accounting Research Society)
日時: (Date&Time) |
2010年5月15日(土)午後3時半から (Saturday, May 15, 2010, 3:30pm〜) |
報告者: (Speaker) |
大日方 隆(Takashi OBINATA) |
所属: (Affiliation) |
東京大学大学院経済学研究科 (Graduate School of Economics, the University of Tokyo) |
論題: (Topic) |
利益情報の有用性と市場の効率性 Usefulness of Earnings and Market Efficiency |
概要: (Abstract) |
この研究は,利益情報の価値関連性と将来リターンの予測能力を検証したものである。 その分析は同時に,市場の効率性を検証することになる。この研究では,開始時点が異な る2 種類のリターンを分析対象として,クロスセクション分析とパネル分析を行い,分析 手法にはブートストラップ法による回帰分析と系列相関を補正したダイナミック・パネル 分析を採用した。分析の結果,日本市場もアメリカ市場も,経常利益,純特別損益,その 他の包括利益の累積残高の情報にかんしておおむね効率的であった。決算日直後の1 年間 のリターンにたいして,それらに予測能力がある場合でも,決算日の4ヶ月後から起算さ れる1 年間のリターンにたいしては,その予測能力が消滅したり,弱まったりしていた。 一方で,実証結果は,それらの利益情報をめぐってアノマリーが生じる可能性も示してい る。とくに,経常赤字,純特別損失,その他の包括利益の負の残高などにたいして,投資 家は即座に完全な反応ができないこともある。また,日米の市場に共通して,期末の株価 を経常利益に回帰したときの残差とその後のリターンとは負の関係にあることがあきらか になった。この結果は,「利益資本化モデルによって推定されるファンダメンタル価値」に 向けて,株価が収斂していくことを意味している。この発見は,利益の価値関連性研究の 前提条件に実証的な裏付けをあたえるものである。現在株価と会計利益との関係および将 来リターンと会計利益との関係を統合した本研究は,パネル分析手法の選択にかんしても, 将来の研究に向けて貴重な貢献をしている。 |
会場: (Place) |
神戸大学経済経営研究所 会議室 (研究所新館2階) RIEB Meeting Room(New Building 2nd floor) |
対象: (Intended Audience) |
教員、院生および同等の知識をお持ちの方 Faculty, Graduate Students and People with Equivalent Knowledge |
使用言語: (Language) |
日本語 Japanese |
備考: (Note) |
論文のコピーは共同研究推進室にご用意しております。 |