兼松セミナー(ラテンアメリカ・セミナー共催)
Kanematsu Seminar (Jointly supported by Latin America Seminar)

日時:
(Date&Time)
2008年3月7日(金)午後3時30分から (Friday, March 7, 2008, 3:30pm〜)
報告者:
(Speaker)
José Luis CORDEIRO
所属:
(Affiliation)
ミレニアム・プロジェクト ベネズエラ代表/アジア経済研究所
(Director for Venezuela, The Millennium Project/Institute of Developing Economies)
論題:
(Topic)
The Challenge of Regional Integration in Latin America: From Economics to Politics     
経済・政治両面にまたがるラテンアメリカ地域統合の課題
概要:
(Abstract)
『ラテンアメリカの挑戦』(講演者が執筆した著書)は、3つの基本的な理念を展開している。これらはそれぞれ異なる章の中で絡み合っている。 それぞれの章は:「教育―長期的に唯一実効性のあるメリット」、「民間のイニシアティブ―富を生む主たる活力」「自由かつ開放的な統合―人的潜在力を 最大限に達成するための方策」などのテーマを扱っている。これらが意味する「統合」とは、つまるところ、人的活動のすべての側面における「自由」と「解放」を 意味する。これらの理念を深く検証するために、この本は以下の3部構成をとっている。

第一部【過去】:ここではラテンアメリカの歴史をその7つの変革期に分けて概説する。7つの時代(変革)とは:定住化、農耕の開始、初期古代文化、 大文明の開化、新旧大陸の遭遇、独立、そして現代の統合をあらわす。各変革の時代はそれぞれ年代によって分かれるが、最後の統合の時代は、 まさに今日始まっているもので、2020年に完結すると考えられる。しかし、その未来を構築するには、この日々刻々グローバル化が進む世界において、 まず過去と現在について学習する必要がある。

第二部【現在】:ここではラテンアメリカの今日の5つの基本的挑戦(課題)について述べる。最初が「教育に関する挑戦」である。ここにはまだおびただしい 教育格差(そしてその背景にある無知)という問題がある。次に、この教育の不平等をとりまく3つの伝統的課題がある。これらは、社会・経済・政治のそれぞれの 側面に関わる課題である。すなわち、おびただしい社会的貧困、極端な経済介入(具体的にはハイパー・インフレなど)、そして根深い政治的汚職の問題である。 これら4つの課題をとりまくものに、新しい挑戦である「生態系とその深刻な問題」がある。すなわち環境破壊に関する無関心である。

第三部【未来】:ラテンアメリカは今その歴史的なモメンタムに立っている。貿易自由化(開放)は単なるその嚆矢であり、地域統合の最終目的ではない。 社会的、経済的、政治的開放こそが、真に教養があり繁栄するラテンアメリカには必要である。経済的、政治的改革のうちのいくつかは短期的インパクトがあるだろう。 そのほかの変革、例えば教育、社会、生態系の面における改革は長期的インパクトを期待するものである。しかしながら、 これらすべてが21世紀ラテンアメリカの構築には重要である。

「統合されたラテンアメリカの全景」とは、今日の世界における新しい視座において同地域を位置づけるための文脈である。それゆえ、 『ラテンアメリカの挑戦』にはこうした視座を例示するための個々の事例を扱っており、それらを通してこれまでとは異なった「世界的投影」を提案するものである。 この新しい手法による投影は、アルノ・ピーターズの世界地図の投影法(注:Arno Peters:「メルカト法」とは異なり、実際の面積や位置を公正に示す地図を描く 手法を編み出した)として知られているが、おそらく21世紀の(世界の社会経済政治を描く)公式地図にも適用できるものであり、人類に3つの基本的理念: 平等な地域・軸・位置を示すものである。  
会場:
(Place)
神戸大学経済経営研究所 調査室 (兼松記念館1階)
Seminar Room at RIEB (Kanematsu Memorial Hall 1st Floor)
対象:
(Intended Audience)
教員、院生および同等の知識をお持ちの方
Faculty, Graduate Students and People with Equivalent Knowledge
使用言語
(Language)
英語
English
備考:
(Note)

論文のコピーは研究助成室にご用意しております。
Copies of the paper are available at Research Assistant Room.