ラテンアメリカ・セミナー (ラテン・アメリカ政治経済研究部会共催)
Latin America Seminar (Jointly supported by Latin American Economy Research Group)

日時:
(Date&Time)
2007年7月12日(木)午後1時20分から (Thursday, July 12, 2007, 1:20pm〜)
会場:
(Place)
神戸大学経済経営研究所 調査室 (兼松記念館1階)
Seminar Room at RIEB (Kanematsu Memorial Hall 1st Floor)
・< 1:20pm〜>
報告者:
(Speaker)
村上 善道
MURAKAMI Yoshimichi
所属:
(Affiliation)
東京大学大学院総合文化研究科
Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo
論題:
(Topic)
チリ・コンセルタシオン政権期の開発戦略と所得分配に関する実証分析
A Positive Analysis about Development Strategy and Income Distribution under the Regime of Chilean Concertación Government
概要:
(Abstract)
 本報告はチリ・コンセルタシオン政権の開発戦略の特徴および、それが所得分配に対しどのような影響を与えたのかを明らかにすることを試みたものである。
 その主要な結論は以下に要約される。第1にコンセルタシオン政権期では実質為替レートの減価は下位層以下の所得シェアを拡大させる効果を持つが、同政権に先立つピノチェ政権期ではそうではなかった。このことからコンセルタシオン政権期において輸出セクターの産業が従来の天然資源に加えて、天然資源ベースの製造業へと変化することで、為替レートの減価によって促進される同産業の輸出の拡大が非熟練労働者も含めた雇用を創出し、累進的な影響を及ぼしていると考えられる。第2に両政権期において、労働力人口に占める高等教育経験者の比率の上昇が、両政権期においても最高位層のみの所得シェアを拡大させその効果はきわめて大きい。このことからコンセルタシオン政権期の高等教育の普及が累進的な影響を及ぼしておらず、政策によっては容易に左右されない要因が所得平準化の妨げになっていると考えられる。第3に両政権期において経済成長率の低下や失業率の上昇が下位層以下の所得シェアを縮小させその効果はきわめて大きく、コンセルタシオン政権期ではインフレ率の上昇は下位層以下の所得シェアを大きく縮小させる効果を持つ。また経済危機時は最下位層が所得シェアを減らし、最高位層が所得シェアを増やす一方で上位中間層の所得シェアは比較的一定であった。このことは経済危機、インフレが確実に逆進的な影響を及ぼすことを示しており、コンセルタシオン政権がポピュリズム的な経済運営と決別しマクロ経済の規律を守りつつ、ピノチェ政権期の自由放任政策を改め金融システムへの介入政策を行った点は、累進的な影響を及ぼしたと考えられる。
・< 3:10pm〜>
報告者:
(Speaker)
高橋 百合子
TAKAHASHI Yuriko
所属:
(Affiliation)
神戸大学大学院国際協力研究科
Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University
論題:
(Topic)
条件付現金給付(Conditional Cash Transfer)に関する政治経済学的考察
Politics of Conditional Cash Transfer Policy
概要:
(Abstract)
近年、条件付現金給付(Conditional Cash Transfer)を特徴とするターゲティング型貧困削減政策がラテンアメリカ諸国で注目を集めている。輸入代替工業化期に見られた一般補助金に頼る社会政策と異なり、「必要な者に必要な量だけ与える」新たな貧困削減戦略は、厳しい財政制約下におかれた域内諸国に新たな可能性を示す点で画期的である。同政策の効果は、正確な受益者選定方法(貧困度測定)、および財源の政治目的への流用を阻止する制度構築(アカウンタビィティ・メカニズム)に大きく依存する。本報告は成功例と見なされるメキシコのPROGRESA-Oportunidadesに着目し、効果的な条件付現金給付を可能にする政治経済的条件を検討する。

Recently, conditional cash transfer calls great attention as the innovative method of social policies in Latin American countries which face severe fiscal constraint. Effectiveness of such policies depends on well designed targeting associated with accurate measurement of poverty and accountable institutional setting ensuring isolation from political influences as much as possible.  We analyze political-economic conditions leading to effective implementation of the conditional cash transfer based on the case study of Mexico's PRGRESA-Oportunidade program.
対象:
(Intended Audience)
教員、院生および同等の知識をお持ちの方
Faculty, Graduate Students and People with Equivalent Knowledge
使用言語
(Language)
日本語
Japanese
備考:
(Note)

論文のコピーは研究助成室に御用意しております。
Copies of the paper are available at Research Assistant Room.