RIEBセミナー (五百籏頭研究会共催)
RIEB Seminar (Jointly supported by Iokibe Seminar)

日時:
(Date&Time)
11月13日(土)午後2時から (Saturday, November 13, 2:00pm〜)
報告者:
(Speaker)
Jason G. KARLIN
所属:
(Affiliation)
東京大学 (University of Tokyo)
論題:
(Topic)
「東京三百年祭」における「江戸の近代的記憶」の構造
The Tricentennial Celebration of Tokyo: Inventing the ModernMemory of Edo
概要:
(Abstract)
明治憲法が公布された年である明治22年に行われた「東京三百年祭」は「江戸の記憶」というものを定義する一大行事であった。ここでとりあげる「記憶」とは、記念行事 (commemorative activities) などの「経験」そのものによって構築された国家集団的な記憶である。この「記憶」は過去の出来事をなんらかの手段で描写、表象した「歴史」という概念とは相反するものである。明治期の記念行事は、近年の研究で解釈されるようにただ明治政府の天皇制擁護の手段であっただけではなく、実は反政府勢力や評論家にとってもそれぞれのイデオロギー推進のための重要な手段であった。「東京三百年祭」はまさにこの最たる事例であり、旧臣が徳川時代の業績と栄光の記憶を社会的に保持するための手段として用いたものである。つまり明治初期における近代化による急速な社会的、文化的変化の中で、旧臣は歴史の急速な進行と徳川時代の物質的、精神的遺産の喪失への反発を表す手段としてこの記念行事を用いた。しかしながら、「東京三百年祭」は単に旧臣による国家権力と正史に対する反発の行為に留まったのではなく、江戸時代の慣習・風俗・趣味(いわゆる"日常生活"everyday life)を中心とした「江戸の近代的記憶」なるものを創造した点において、非常に生産的な行為でもあったといえる。この「東京三百年祭」に見られるように、記念行事や祭典を政府によるイデオロギー生産の手段としてのみとらえる見解を超えれば、ナショナル・アイデンティティーというものが単一的に国家政府によってつくりだされるのではなく複数の主体から構築されていくものであることが明らかになる。
会場:
(Place)
神戸大学経済経営研究所 調査室 (兼松記念館1階)
Seminar Room at RIEB (Kanematsu Memorial Hall 1st Floor)
対象:
(Intended Audience)
教員、院生、学部生、および同等をお持ちの方
Faculty, Graduate Students, Undergraduates, and People with Equivalent Knowledge
使用言語
(Language)
日本語
Japanese
備考:
(Note)

論文のコピーは研究助成室にご用意しております。
Copies of the paper are available at Research Assistant Room.