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神戸大学 経済経営研究所 附属政策研究リエゾンセンター

産学官連携プロジェクト Liaison Project

  
「戦略的技術マップの構築による産学連携活動の活性化」
〜フラットパネルディスプレイを題材として〜

  
主催:神戸大学経済経営研究所政策研究リエゾンセンター
協力:神戸大学イノベーション支援本部・連携創造センター

プロジェクト趣旨
 昨今、大学と企業の間での「組織対組織」による様々な「戦略的」な連携が模索されているが、大学において実施される研究活動は本来的に自由かつ無秩序であり、組織として管理することには限界と制約が存在するものと思われる。従って、「戦略的」でありかつ「多様」な産学連携を円滑に進めていくためには、社会的にもまた経済的にも関心が高いと考えられる研究課題を「大学組織」が連携活動の目標として適切に設定し、それに対し広く学内の研究者の参画を誘導していくことが有効な手法の一つとして考えられる。

 本プロジェクトでは、ある特定の産学連携活動についての社会経済的な位置づけを明確化し(例えば、産業競争力の強化)、同時にそれらの活性化を図るための試行的取り組みとして、近時、我が国発の主要製品として大きな成長を遂げつつあり、また、今後の激しい国際競争が予想される製品である「フラットパネルディスプレイ」を題材に取り上げ、それに関連する(部品や材料も含む)様々な技術・研究開発が大学においてどのように行われているか(あるいは行われていると推測されるか)を網羅的に総覧することのできる「戦略的技術マップ」を、各大学の産学連携担当部署(知的財産本部等)の協力を得ながら構築することを目指す。同時に、このような技術マップ構築の過程において、大学内の技術シーズの効果的探索や企業との連携の方向性の分析(将来の企業との戦略的な連携関係の構築を含む)等についての実証的な研究を行う。

ねらい
大学における研究は個々の要素技術に関するものが多く、産学連携活動の成果としての具体的な製品イメージが確立していることは少ない。また、同一大学内においてさえ異なる分野との交流に乏しく、製品の複雑化が進む中で技術の融合によるイノベーションが大学主導で十分に成し遂げられ得るかどうかは検証が必要である。

 一方の企業側にあっては、産学連携によって自前主義によらない技術を大学に求めるにしても、個々の要素技術が広範に分散している状況にあってはこれらへのアプローチのコストが大きく、また、大学毎に「包括的連携関係」を構築するとしても、それらの費用対効果が十分なものになるとは限らない。さらには、このような包括的連携関係の「乱立」は個別の企業による大学の囲い込みにつながる懸念もあり、大学におけるオープンな研究の機会を損なうことにもなりかねない。

 従って、本プロジェクトでは、我が国として戦略的に重要な製品に関する様々な技術の所在を相互に明らかにし、個々の研究においては互いの切磋琢磨による一層のイノベーション能力の向上を図ること、大学と企業との連携関係においてはこのような技術マップを踏まえたより戦略的な対応を模索することを目指す(但し、試行的研究であるため、近畿地区の大学に限定される)。

 なお、本分野(フラットパネルディスプレイ)が企業にとって極めて戦略性の高い技術分野であるという前提において、企業と大学の個々の連携関係が構築されていく場合の守秘義務や知的財産管理の問題等、大学が対応するべき多くの実践的な示唆が得られることも期待される。

成果報告
  調査報告書の作成
近畿地区の15の大学の協力により、調査報告書(フラットパネルディスプレイ「戦略的技術マップ」)を作成した(印刷物は配布予定数を終了)。
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/liaison/sankangaku-pj/project/pj1/mapbook.pdf
   
  セミナーの実施
10月15日(金)に神戸国際展示場で開催された「近畿産学官連携ビジネスショウ2004神戸」)において、本プロジェクトの調査結果に関するセミナーを実施した。
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/liaison/sankangaku-pj/project/pj1/seminar.pdf
   
  ディスカッションペーパー
「技術マップ」の構築方法やその活用の可能性等について解説を加えた。
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/academic/ra/dp/Japanese/dpJ64.pdf
   
プロジェクトの内容についてのお問い合わせ先
当センター助教授 森田弘一


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