タイトル
市場主導と技術主導の製品コンセプト創出−ハウス食品「こくまろ」カレー・「プライム」カレーの開発事例−

要旨

製品開発がインクリメンタルに進む局面と、流動的な局面では、求められる製品開発の組織・プロセスなどが異なるということがこれまでの研究では示されてきた。しかし、両者の製品開発のパターンにおいて、目的とする製品開発の指標となる製品コンセプトの創出にどのような違いがあるのかについては、これまで十分に議論されているとはいえなかった。そこで、本稿では、市場の暗黙的な情報がどのように製品開発における形式的な情報に変換していくのかを分析した野中教授らのSECIモデルを理論的フレームワークとし、ハウス食品における2つのパターンの異なる製品開発事例を基に、製品コンセプトの創出から製品開発に至るプロセスを分析することを試みた。結果、インクリメンタルな局面では、製品コンセプトは市場の暗黙知を製品開発に正確に反映させるための手段であるのに対し、流動的な局面では、技術サイド主導の製品コンセプトが、それを媒介して新たな技術情報と顧客ニーズとをすりあわせるための手段となっていることが示された。


キーワード:製品コンセプト開発、技術と市場の統合、SECIモデル


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