タイトル
日本企業のものづくりにおける価値創造の課題

要旨

日本の製造業は技術力やものづくり力は高いにもかかわらず、付加価値や利益の創出に結びついていない場合が多い。特に、電機業界が象徴的であり、 価格低下が業績悪化をもたらしている。本稿はこの問題を、企業側と顧客側の両面から考える。つまり、@企業側で独自性が持続できない点と、A顧客側では独自性に 対して十分な対価が支払われない点、を統合的に議論する。1点目は、企業が独自性を持続できないために過当競争になることが問題である。競争がグローバル化し、且つ、 競争力は均一化する傾向にある。そのため、競争優位性をつくることと、それを維持することがきわめて困難になっている。2点目は、企業がいくら優れた商品を提供しても、 顧客が高い対価を支払わない傾向が強まってきたことが問題である。世界の技術レベル全体が底上げされ、技術力の高い日本企業ではなくても、普通の企業が開発・ 製造する商品で十分に顧客が満足する機能を実現できるようになった。そのため、それ以上の機能に対しては追加的な対価を支払わないのである。



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