タイトル
日本における近代通貨システムへの移行を巡って −決済における取引費用の観点から−
要旨
本稿では、商品流通における決済サービスの提供に着目し、近世から近代移行期の日本における通貨システムの変容を考察するためのひとつの分析視角を提供することを
試みる。江戸時代までの日本の通貨システムは、金貨、銀貨、銭貨、藩札など複数の貨幣が相互に補完的な役割を担いながら重層的に流通する構造となっていたが、
19世紀後半に、国民国家の枠内における貨幣単位・貨幣価値の単一性を特徴とする近代通貨システムへの移行が行なわれた。近代通貨システムへの移行時には、
国内の経済活動における取引費用の削減、海外貿易決済における国際銀行への依存からの脱却といった、決済にかかる取引費用の問題が強く意識されていた。
キーワード:近代日本の通貨システム、商品流通、決済、取引費用
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鎮目 雅人
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