タイトル
高コスト構造是正の国際マクロ効果 ―2国モデルによる企業立地の分析―
要旨
80 年代後半から90 年代中頃にかけて,我が国の製造業は積極的に海外移転を行った.特に,我が
国の企業が海外移転を行った理由として,我が国の高コスト構造が原因であるといわれている.本稿
は,こうした現状を踏まえて,産業空洞化の原因である高コスト構造を是正することが,自国と外国の
マクロ変数にどのような影響を及ぼすのかという点を検討するために,Johdo and Hashimoto(2005)
のモデルをフレームワークとして用いて分析した.モデル分析から,我が国の高コスト構造を是正
すれば,企業が立地拠点を我が国に戻すことが示された.また,同時に厚生分析を行った結果,両
国の厚生水準が改善することが示された.従って,両国にとって,我が国の高コスト構造の是正は
望まれている政策だといえる.
キーワード:高コスト構造是正,企業移転,国際マクロ経済学
JEL classification:F2;F3;F41
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道和 孝治郎
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