タイトル
デジタル機器産業でのイノベーション・インパクト −企業の脱コモディティ化戦略−

要旨

デジタル機器産業は、自動車産業とともに日本の基幹産業として高い競争力を構築することが期待されている。しかし、高い成長率の反面、企業収益が確保できないほど市場価格が低下するコモディティ化の問題も顕在化している。このような産業において、企業のイノベーション活動のインパクトの強さを、POSデータの解析により分析した。デジタル機器のいかなる製品分野でも、タイムトレンドとともに価格低下が観察されるが、企業はインクリメンタル、あるいはアーキテクチャルなイノベーション活動によって価格を維持向上させている。企業にとってインクリメンタル・イノベーションは価値獲得のために価格を維持し、アーキテクチャル・イノベーションは価値創造に寄与している。モジュールやシステム統合ツールが市場化している製品分野ではこのようなイノベーション活動の余地は少なく、価格低下率も大きくなる。競争力の構築のためには、独自プラットフォームの構築、あるいは、独自の製品アーキテクチャを構築し、キーとなるモジュールをブラックボックス化する必要がある。

キーワード: モジュール化、POSデータ、コモディティ化、製品戦略、イノベーション

連絡先:〒657−8501
     神戸市灘区六甲台町2−1
     神戸大学経済経営研究所
     伊藤宗彦
  TEL: 078−803−7036
  FAX: 078−803−7059