タイトル
ラテンアメリカにおける制度能力と直接投資

要旨

  本研究は、ラテンアメリカ諸国の制度能力に格差をもたらす要因を実証的に検証することを通じて、同地域において現在急務とされる第二世代の政策改革に向けた一つの指針を探ることを目的としている。ラテンアメリカ19ヵ国のパネルデータを用いた分析により、第一に、ラテンアメリカ諸国の制度能力を改善するにあたっては、資本規制緩和による直接投資の誘致が重要な役割を果たしうることが指摘される。他方、制度能力の向上は投資環境の改善を通じて、対内直接投資を増加させる可能性がある。こうした点に配慮し連立方程式システムを用いた推定を行ったところ、直接投資の誘致が制度能力を改善し、同時にそれがさらなる直接投資の流入をもたらすという好循環が、ラテンアメリカ諸国に存在していることが確認された。しかしながらこうした好循環は、他の地域では必ずしも確認されないことから、外資誘致を通じた制度改革に関してその一般化には慎重であるべきであり、かかる相違を生むラテンアメリカ特有の背景を明らかにすることが今後の課題となる。


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