タイトル
英語で経営する日本企業 −スミダ−

要旨

  スミダコーポレーションの八幡滋行社長は、2002年から英語を共用語にするとの方針を表明した。本稿は、同社の英語共用語をとりあげる。
 スミダの英語化の特徴として、つぎの諸点をあげることができる。
 第1は、日本語から英語への急激かつ全面的な転換である。1999年までは、同社は日本語によって国際経営を経営していた。香港、台湾、中国など海外子会社において日本語の教育に力を入れていた。それが、1999年に米国企業を買収したのを転機に、グループの共用語を英語に変更することに決定した。
 第2は、上からの英語化である。同社では、常務会など最高経営会議、コーポレートスタッフ、香港本社など経営の中枢では英語がすでに共用語になっている。社長の八幡は、中学校3年生から大学を卒業するまで英国で生活している。
 第3は、日本人社員の低い英語力である。TOEICの平均点は400点にすぎない。
 第4は、無理をしない現実的な進め方である。販売、生産、研究開発ではまだ日本語が中心的な言語である。
 第5は、同社の英語共用語化は、持株会社制度、東京・香港の2本社制、退職金制度の廃止、全員年俸制、ストックオプション(管理者全員)など同社の一連の企業革新のひとつとして位置付けられる。


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